− 赤ちゃんと母乳 − 

 
私のコラム『牛乳は本当にいいのでしょうか・牛乳は牛の血です』を読まれた方が 「母乳が出ない者はどうすればいいのでしょうか?
ただ、不安をあおっているだけだ」と言われるような発言を掲示板で読みました。
私のコラムが不安を増す原因になってしまったのでしたら申し訳ありませんでした。
そこで、その不安を取り除くために真弓小児科医院・院長の真弓定夫さんの 『お母さんアトピーから赤ちゃんを守ってあげて』(合同出版)と生活科学研究所・ 所長の守 孝さんの『母と子の生活科学』(生活科学研究九州支部) に赤ちゃんと母乳について書かれていますので紹介させていただきます。

先ず、母乳が出ないのは食事にも原因があるようです。 栄養の摂りすぎと高カロリーが原因の一つになっているようです。
「特に栄養たっぷりでストレス生活の中にいる母親の母乳が出にくいのは、 京都大学医学部の三宅教授や神戸大学医学部の大里教授らの研究でも明らかです。 両教授終戦当時の栄養不足時代ですら母乳がタップリ出たという調査結果におどろいています。 産後の食事のカロリーを低くして母乳の出をよくすることに成功している病院もあります。」 (『母と子の生活科学』守 孝・生活科学研究九州支部・P.21)
「こうした母乳哺育を成り立たせる前提として、 山田病院では妊娠期間における徹底した母親への指導があります。 とくにお母さんにたいする食事の指導が徹底して行われます。(中略) 食事指導の内容の基本は全体食という考え方です。常滑市周辺にできる土地の食べ物、 しかも季節の食べ物を全体食として摂ることを教えています。 植物なら、そこから芽が出てくる部分である胚芽を大切に考えます。 動物なら、極力丸のままのもの、つまり魚なら切り身とか刺身ではなく、 魚全体を食べるように小魚を優先させて食べるという考え方です。」 (『お母さんアトピーから赤ちゃんを守ってあげて』真弓定夫・合同出版・P.28・P.29)
『妊産婦も日本人である限り、日本の風土に合った食べ物、 つまり、穀物、野菜、海藻、イモ、豆、小魚などを食べることによって、 母乳の分泌がよくなるのです。(中略)そもそも日本人の食生活からはずれたものが、 母乳の出をよくするとは考えにくいものです。』(『お母さんアトピーから赤ちゃんを守ってあげて』 真弓定夫・合同出版・P.45・P.46)
というように粗食、いわゆる日本古来からの食事が母乳にとってはよく、 戦後すすめられた現代栄養学のカロリー中心の食事が母乳の出を悪くするようです。 特に最近は甘い物、油を使った料理を多く食べる傾向にあります。 これらが特に母乳の出に影響を及ぼすような気がします。
もう一つの原因は人間は2足直立歩行をしていることです。
「他の動物ではほとんどあり得ないことなのですが、 人間の場合には、母乳が出にくいというケースがしばしば見受けられます。 その原因として、一つは人間は二足直立歩行しているからだと考えられます。 人間以外の他の動物は四つ足で歩くので、乳房にかかる乳腺の重力が自然に均等にかかり、 歩くことが自然なマッサージとなって、母乳が出やすいのです。ところが人間の場合は、 直立して歩くので乳房にかかる乳腺の重力がどうしても不均等になり、 そんために母乳がでにくいということも起こってくるのです。昔の人は、母乳が出ないというと、 よく畳の上で四つばいになって母乳を出したものです。これは非常に合理的な方法だと思います。 仰向けになることも同じ理屈から良い方法ですが、うつ伏せのほうが母乳は出やすいようです。」 (『お母さんアトピーから赤ちゃんを守ってあげて』真弓定夫著・合同出版・P.23・P.24)
科学的や医学的といわれるようなことより先人の知恵のほうが日本人には合っているような気がします。

ただ、生まれたばかりの赤ちゃんはお乳をあまり飲みませんし、お乳もあまり出ません。 新生児は汗をかくことができない上に身体の80%は水分です。だからノドは渇きません。 だから母乳を飲まないといって哺乳瓶で水分を与えると体調をこわすことがあります。
「はじめは飲まない新生児 『どこか異常があるのかしら?眠ってばかりいる。』 しかし、ご安心下さい。異常でない証拠に、お母さんのふところから離して連れ出されると、 火のついたように大声をはりあげて泣き出す事でしょう。 母乳育児の失敗はこの時期の正しい知識の欠除からきます。 赤ちゃんが泣くのはあたりまえで健康な証しなのに 『お腹がすいているのでは、どこかイタイのでは?』 と気にする母親、乳が出ないと心配ばかりしている母親 (この頃の母乳分泌はきわめて乏しく5ccくらいなのです。) このままでは空腹で栄養失調になりはしないかと気をもむ母親。 ここで負けては台無しです。 新生児が本格的に一日に400cc台の吸乳量に達するのは6〜10日目あたりからで、 半月たっても500ccをやっとこえるあたりなのですから。 最初は出にくい母の乳 とにかく母乳不足の判定は5日や10日では早すぎるのです。 1ヶ月ぐらい待ったって平気です。母乳は最初は出にくいものです。それを母子のねばり、 母乳以外では生きられないものだ、 哺乳類のオキテからみても子はその母親の乳で育てなければならないものですから、 牛の血液(牛乳)に容易に飛びつかず、徹底した執着でねばれば、 生きるための本能の力で赤ちゃんが吸い出してしまうものです。 一にも二にも時間まち、がまんなのです。」 (『母と子の生活科学』守 孝著・生活科学研究九州支部・P.20・P.21・P.22)
「山田さんの信念は、生まれてから三日間は赤ちゃんを徹底的に休ませるというものです。 お産はお母さんも大変なのですが、 赤ちゃんも大変なのです。お産というといきおいお母さんに目がそそがれがちなのですが、 生まれてくる赤ちゃんのほうがもっと大変なのだということが忘れられてしまっています。 生まれるまでの赤ちゃんは、胎盤を通じてお母さんから栄養をとり、いわば受けに身の生活をしています。 それが、その狭い産道をくぐり抜けて出てくるときの赤ちゃんの苦労は並大抵ではありません。 生まれてから呼吸ひとつするにしても、全くの初体験です。 ですからこうした苦労を経た後には十分な休息が必要だというのが、 山田さんの根本的な考え方なのです。そこで赤ちゃんには、 生まれてから、なるたけ早い時期にお母さんに抱かせて、できれば一時間以内に母乳を含ませます。 そのときに母乳が出る出ないはあまり問題にはしていません。 自然にまかせていれば母乳は必ずでるようになるというのが山田さんの考え方です。 最初にどれぐらい母乳が出るかはそれほど気にしない、 吸啜が大事だから赤ちゃんに吸わせるのだというのです。」 『お母さんアトピーから赤ちゃんを守ってあげて』(真弓定夫著・合同出版・P.26)
最初はお乳が出ないで当たり前なのであまり心配しないで下さい。
それともう一つ最初はお乳が出ない理由があります。 「生後数日から十数日の間、生理的に母乳の出がわるい間、新生児の体重が減ります。 胎内で汚物をエン下して腸内に貯留したよけいなものを排泄したり、 必要以上の細胞外水分の処分がこの間におこなわれるためで、 体重低下はかえってよろこばしい現象といえるのです。」 (『母と子の生活科学』守 孝著・生活科学研究九州支部・P.22)
「休息という意味には、赤ちゃんの消化器の休息も含まれているからです。 ただ母乳が出ないからというそれだけの理由のために母乳とはタンパク質の組成が異なる粉ミルクを与えてしまっては、 赤ちゃんの休息はそこで破られていまいます。だからこそ、 昔の赤ちゃんは生まれてから三日目ぐらいの間に体重がかなり減ったものです。 このような生理的な体重減少はあって当然なのです。むしろ体重が減ったほうが赤ちゃんは楽なのです。 そこで山田医院では生まれたばかりの赤ちゃんには乳首を吸わせるだけで母乳以外は水も何も与えません。 すると三日か四日たって、十分に休息をとった赤ちゃんは一生懸命に乳首を吸い、 めきめき体重も増えていき、母乳の出方もどんどん良くなるというのがほとんどのケースだそうです。」 『お母さんアトピーから赤ちゃんを守ってあげて』 (真弓定夫著・合同出版・P.26・P.27)
最初は赤ちゃんとの根比べです。負けてミルクを与えてしまえば最後です。 赤ちゃんは母乳より哺乳瓶の楽な方を選びます。赤ちゃんに負けないで下さい。

どうしても母乳が出ない人もおられます。 そんな時、昔は他人の母乳を分けてもらっていました。 最近、 ラジオで20年前に母乳を分けてもらった子どもと母乳を分けてあげた人の子どもが成人式を迎えたと聞きました。 今でも両家族は親戚のようなつき合いをしているそうです。 産院が母乳のコーディネーターなどをすればミルクに頼らないでもよくなるのではないでしょうか。

みなさんが赤ちゃんを育てる中で困ることの一つに夜泣きがあります。 夜泣きは母乳の味が原因という場合があります。お母さんの食べたもので母乳の味が変わります。 「動物性脂肪が多く、熱量の高いものを夜摂取しますと、乳腺の部分が固くなり、 母乳の分泌を妨げるだけでなく、母乳の味を変えてしまうことがあります。 赤ちゃんの本来の好みの味ではなくなってしまうわけです。 ですから、昼間はおいしく飲んでいたのに、夜間は飲みにくい味になってしまうため、 夜泣きをしてしまうことがあります。このようにお母さんの食事の内容と食べ方は、 赤ちゃんの成長に直接影響を与えるものなのです。」『お母さんアトピーから赤ちゃんを守ってあげて』 (真弓定夫著・合同出版・P.17)
そして季節を考えない食べ物も夜泣きの原因になる場合があります。 冬に身体を冷やす暑い国で採れるバナナなどの果物を与えないようにしないことです。 もともと日本人は昔から果物はあまり食べない人種です。 果汁100%のジュースにビタミンや食物繊維はほとんど含まれていません。 製造時にほとんど壊れてしまいます。果汁の果糖は吸収されやすく脂肪として蓄積されます。 飲み過ぎると糖尿病や脂肪肝になるおそれがあります。小さなお子さんには番茶か水を与えて下さい。

最後に日本で一番多く売られている超高温殺菌してある牛乳のことについて 『お母さんアトピーから赤ちゃんを守ってあげて』に書かれていますので紹介します。
「雪印乳業の元部長で評論家の藤江才介さんは、『私の意見ではなく世界の定説になっているのですが、 超高温減菌のように高温処理すれば、確かに持ちはいい。牛乳の成分が変わるかというと変わるわけではない。 カルシウムやタンパク質の含有量は同じなんだね。ところが消化吸収が悪くなるんです。 したがって、それを飲んでも体内を通過するだけで何ら価値がないわけだ』 といって超高温減菌乳の欠点を述べ、それくらいなら水を飲んだほうがましだといっています。 (中略)フランスでは低温殺菌牛乳が100%、他の欧米諸国でもそれに近い数字なのです。」 (『お母さんアトピーから赤ちゃんを守ってあげて』真弓定夫・合同出版・P.39)
超高温殺菌牛乳は消化しないということは「世界の定説」になっているということです。 妊娠中にカルシウムを摂るために牛乳を飲まれる型がいますが、 無駄だし牛乳にはホルモン剤や抗生物質などの合成化学物質が含まれている可能性があります。 カルシウムやタンパク質を吸収しないのなら無駄ですのでなるべく飲まないようにしましょう。 ミルクも牛乳が原料で、その上、添加物がたくさん使われています。 なるべくなら飲ませないようにして下さい。 しかし、こんな無駄なものを学校では強制的に飲ませています。 学校の授業で無駄な事を教えていれば抗議をする人がいるでしょうが、 人間生きて行くことで一番大切な食べることに関して、他人まかせでほとんど関心がないのは悲しいことです。

エコロジカル・ヘルシーショップ三友 桧垣史郎
引用文献
『母と子の生活科学』守 孝著・生活科学研究九州支部
『お母さんアトピーから赤ちゃんを守ってあげて』真弓定夫著・合同出版

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