− 情報操作 − 

 
酪農製品にまつわるウソやごまかしは牛乳やヨーグルトだけではありません。肉に関する情報操作も行われ ています。『うおつか流 台所リストラ術』や『うおつか流 清貧の食卓』(農文協)の著者、魚柄仁之助さん が実際に肉の情報操作が行われた経験を『うおつか流 清貧の食卓』に書かれています。
沖縄の人は、豚肉を多く食べるから長寿だと言われることで有名です。 魚柄さんは料理研究家として1988年ごろ、畜産振興事業団(本には「肉の消費を推進する団体」と書いて ありましたが、本を読み進めば畜産振興事業団ということが明記されていましたのでそのように書きました。) がスポンサーで、沖縄の長寿と肉食習慣の関係について沖縄に取材に行かれ、調査をした時のことです。 高名な栄養学者が中心になり新聞記者などが取材・編集を担当し、80歳から100歳くらいのご老人が多い長寿 村に行き、昔の食生活や現在の食生活などを聞いてまわったそうです。この時の調査にあたった人たちは、沖縄は豚肉 の消費が日本一なので当然、肉を多く食べているだろうというのが一致した考えでしたが、現実はまったく その逆だったのです。皆が皆、あまり食べないという回答です。肉よりも魚の方が好きだと いう人や、肉は週に1度か2度という人がほとんどで調査にあたった人たちの考えていたこととはあまりにもか け離れた現実に取材が進まなくなったそうです。そして魚柄さんが出した報告書には「長寿老人たちは、肉 も好き」と書くことが精一杯だったそうです。しかし、畜産振興事業団が出したハンドブックにはカラー写 真入りで「沖縄の長寿老人を支えているのは、たっぷり肉を食べる食生活と言わんばかりに書かれています 。」(『うおつか流 清貧の食卓』魚柄仁之助著・農文協・P.59)のように紹介されているそうです。そし てこのハンドブックは全国の保健所に無料で配布されました。 少し前のことですが、小社のお得意先に私が肉は身体に悪いことを話したところ、この沖縄の肉と長寿のこ とを引き合い出されて反論されました。そして肉が身体に悪いというような非常識なことは言わないようにと 私に言われました。ほとんどの人が小社のお得意先と同じように肉は身体に良いと思われていると思います。 しかし、実際はこの話のように高名な栄養学者を使い、畜産振興事業団などによって肉は身体に良く、 肉を食べることがいかにも健康や長寿の条件のような情報操作が行われ、消費者を洗脳し常識化させています。(合成洗剤、牛乳、原子力発電所、ダムな ども同じようなことが行われています。)社団法人中央酪農会議や畜産振興事業団、 社団法人全国牛乳普及協会などの団体は農水省官僚などの天下り先になっています。

鳥取県に片山知事が就任された時、ダム計画が進められていました。官僚から出された資料には、河川改修には 147億円かかるが、ダムを造れば140億円しかかからず、ダムを造る方が安くつくというように書かれてい ましたが、片山知事は自治省の元官僚で官僚のことは良く分かっておられました。だからこのデーターを見 たときに何かおかしい事に気づかれました。そこで知事は官僚に、「ダムと河川改修はどちらが安くできる かを言いなさい。今、本当のことを言えば一切責任は問わないが、後から何かが出てきたら責任を徹底的に追 及する」と役人に言ったとたんダムには230億円かかるが河川改修には77億円しかかからないという本当の数 字が出ました。このようなウソのデーターをでっち上げて国民から集めた税金をムダに使ってでも、自分 たちの天下り先を作るというのが官僚です。

狂牛病を発症した牛が日本でも見つかり、出荷する牛の全頭検査をするようになりました。しかし、この全頭 検査にも大きな落とし穴があります。全頭検査について『アトピー性皮膚炎はこわくない』の著者、三好基 晴さんが『むすび 2月号』(2002年・正食協会)のインタビューに対してこのように答えています。
「(司会者)牛の全頭検査が始まっていますが、これは信頼できる検査なのでしょうか?
 (三好氏)重要なことは、感染と発病とは違うということです。いま騒がれているのは発病している牛のこ とでしょう。今の検査は、発病している牛を発見することはできても感染の有無を診断する方法ではありま せん。感染はしているけれど、発病はしてない牛もいるはずです。そしてそれを見つけられない可能性が大 いにある。そうなると、シロでも感染している牛が出回る可能性があるわけです。」
ということです。

柳井市では(財)日本食肉消費総合センターと(社)全国牛乳普及協会、後援:農畜産業振興事業団が作成 した『安全な国産牛肉をお届けします』というパンフレットが全家庭に配布されました。このパンフレット に「英国では100名余りの変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発症が確認されていますが、これは、危険 度の高い牛の脳などを食べていたことが原因ではないかと考えられています。」と書いてあります。このこ とについて『牛肉が食べたい』(里見 宏著・(株)ジャパンマシニスト社・P.55)という本には 「最初イギリスで見つかった10人の患者さんについて、医学雑誌『ランセット』には『肉は食べていたが、 脳は食べていない』と報告されています。そのうち、ひとりは1991年から厳格なベジタリアンだったのです。 それでも発症しているのです。例外もあるでしょうが、こどもたちが脳や眼をよろこんで食べるとは思えま せん。」とあります。農水省など は脳などの危険部位を食べなければ大丈夫としていますが、イギリスでは危険部位を食べなくても発症して います。日本で狂牛病が見つかる前まで厚労省のホームページには「脳、脊髄、網膜で、また、実験感染牛 では小腸(回腸遠位部)骨髄と脊髄神経節でも確認されています。」と書いてあったそ うです。しかし、日本で狂牛病が見つかった後に「骨髄と脊髄神経節 ※1」がホームペ ージから消されたそうです。ということはパンフレットに書いてある「脳、脊髄、眼及び小腸の最後の部分 (特定部位)以外では発見されませんでした。」(『安全な国産牛肉をお届けします』パンフレット) はウソになります。そして『牛肉が食べたい』(里見 宏著・(株)ジャパンマシニスト社)には「狂牛病 の牛から感染が確認された部位として、脳、脊髄、眼、回腸以外に、末梢神経節 ※2と 骨髄(骨の中にある部分)があるのです。ということは、脳や脊髄を食べなくても、肉にも末梢神経はある わけですから、肉を食べてうつることは、少ないでしょうが、可能性はあるということです。」と書いてあ ります。では、何故消す必要があったのでしょうか?それは脊髄神経節をそのままにしておくと肉が売れなく なるためです。農水省や厚労省のいうことは本当に信じられません。そしてパンフレットには検査のことが 「新しい検査のしくみでは、まず、BSEにかかっている牛をみのがさないようにするため、感度の高いエラ イザ法という検査法で検査されます。この方法では、BSEにかかっていない牛でも陽性となることがあるため、 」と、感度が高いため安全性は非常に高いことを強調しています。BSEにかかっていない牛でも陽性 となるから感度が高いというのではなく、精度が悪いと考えるのが常識ではないでしょうか。要するにこの文 章は精度が悪いことを自ら露呈しているようなものです。『牛肉が食べたい』にも「本来、高感度というの は、異常プリオンが1個でもあれば検出できるときに使う言葉です。ですから、実際には高感度ではありませ ん。」(『牛肉が食べたい』里見 宏著・(株)ジャパンマシニスト社・P.51)というように同じエライザ法の 検査キットでもキット製造メーカーが違うと同じ脳検体でも異常になったり正常になったりするそうです。 このような不具合が起こるということはこの検査法が不完全だということの証明です。精度が低いのですか ら安全性は保証されているものではありません。今の検査法が完全でしたら新しい検査法を開発する必要は ないにも関わらず、今の検査キットに替わる検査法を世界の数社が今も開発しているそうです。このような不 完全な物を国は正確性の高い検査だから肉や牛乳は安全で感染の心配はないといっている のですからいい加減なものです。国民の命と財産を守らなければならない国はこのような情報操作をして国 民をごまかすことばかりしています。

「牛乳飲む女子はスマート」という記事が朝日新聞(2002年6月19日付朝刊)に載っていました。内容は全 国牛乳普及協会の委託で女子栄養大学の上西一弘助教授が中高生男女6千人を3年間調査した結果、400ミリリット ル以上飲む人は100〜200ミリリットル飲む人よりも体脂肪率が下がる傾向にあることがわかったということ です。運動量や生活習慣には差はなく、あるとしたら牛乳を飲む量が牛乳ビンにして1本分違う事だけだった そうです。だから牛乳を飲むとスマートになるという結論を出したということです。しかし、この調査結果 にはどうも疑問が残ります。調査した6千人全員の運動量と生活習慣の差がほとんどないということが実際 に起こりうることでしょうか。男子と女子では運動量と生活習慣は違いますし、中学生と高校生ということだ けでも運動量も生活習慣も確実に違います。学校のクラブ活動も運動クラブと文化クラブでは運動量はま ったく違います。住んでいる家が学校から近いか遠いかでも運動量も生活習慣も違ってきます。クラスの中 には太った人ややせた人がいます。これは運動量や生活習慣が違うことの表れです。それなのに6千人全員の 食べ物のカロリーから栄養価までがほとんど同じで違いといえば、たった牛乳ビン1本分の牛乳を多く飲むか飲 まないかの差しかなかったということは考えられません。牛乳ビン1本位の違いで体脂肪が変わる位なら苦労 はしませんが、この調査では変わるのだそうです。そしてもう一つ不思議なことに牛乳を飲むと体脂肪の減 る傾向は女子だけで男子には見られなかったということです。これはどういうことでしょうか。私がこの記 事を読み思ったことは、この記事は作り話ではないかなということです。(ここからは私の推測です。)こ の調査をして明るみになったことは低学年よりも高学年になるほど牛乳を敬遠する傾向にあり、女子高生の 約4割がカロリーが高いとして牛乳を飲まないという結果でした。このことは乳業メーカーにとっては非常に 深刻な問題でした。飲まないその4割の女子高生に牛乳をのませれば市場が拡大し売り上げも上がる。そこで、 どうすれば牛乳を飲まない4割の女子高生に飲ませるかを考えたら、女子高生は男子高生よりもダイエットに 感心が高いので「牛乳を飲むとやせる」ということにすれば牛乳が売れると読んだのではないでしょうか。 その上、牛乳を200ミリリットル飲む人よりも400ミリリットル飲む人の方が体脂肪が減っているというデー ターをでっち上げれば牛乳が今の倍売れると考えた。そこで「牛乳飲む女子はスマート」とでっち上げ記事 を新聞に載せたということではないのでしょうか。アメリカでは「牛乳1リットルでベーコン5枚分の脂肪、 0.12gの コレステロール」というように牛乳を飲めば脂肪を大量に摂取するため飲まないように、というキャンペー ンをしているというのに牛乳を飲むと体脂肪を減らせるとは開いた口が塞がりません。このような情報操作 をしてまで、牛乳を飲ませて売り上げを上げようという魂胆と私は勘ぐりました。記事の中で「400ミリリッ トル以上飲む人は100〜200ミリリットル飲む人よりも体脂肪率が下がる傾向にある」と書 いたにもかかわらず記事の最後に上西助教授が「ただし、飲みすぎるとカロリーの取りすぎになることがあ る。400ミリリットル程度が適量ではないか」と400ミリリットル以上飲む事を否定しています。牛乳を飲む と太ることを上西氏自身がよく知っているので学者としての良心を少し見せています。

以上のように情報を隠したり、情報を操作して国民にとっては不利益な常識を作り上げて政治家、官僚、企 業の利益になるようにしてきました。
このようなことは早く止めて政治家、官僚、企業は国民、消費者の方を向いて私たちの健康や利益のことを 考えていただきたと思います。


2002年6月
 
 
 
エコロジカル・ヘルシーショップ三友 桧垣史郎
引用・参考文献
『むすび・2月号』正食協会・2002年
『うおつか流 清貧の食卓』魚柄仁之助著・農文協
『牛乳飲む女子はスマート』朝日新聞・2002年6月19日付朝刊
『安全な国産牛肉をお届けします』
(財)日本食肉消費総合センター・(社)全国牛乳普及協会
『牛肉が食べたい』 里見 宏著・(株)ジャパンマシニスト社



※1脊髄神経節 脊髄神経の後根が前根と合する直前にある膨らんだ部分。知覚神経細胞が集まる。 (広辞苑より)

※2末梢神経節 中枢神経系と皮膚・感覚器官・筋肉・腺などとを連絡する神経の総称。脳から出る 脳神経と脊髄から出る脊髄神経とがある。
機能上、遠心性神経と求心性神経とを区別し、また運動神経・知覚神経・自律神経の別がある。 (広辞苑より)
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