− 自転車通勤のすすめ − 

 
皆さんは仕事に行くには電車ですか?バスですか?それとも車ですか?ほとんどの方がこの三つのうちのいず れかを利用して仕事に行かれていると思います。これらには一つの共通するものがあります。それは化石燃料 に頼る通勤です。特に自家用車による通勤では一台の車に1人だけが乗るというのがほとんどです。これは本 当に石油の無駄使いだと思います。今、地球は二酸化炭素、メタンガスやフロンガスなどの影響で温暖化がす すんでいます。今、私たちが生活や仕事で使用しているエネルギーの約90%は石油や天然ガスなどの化石燃料で す。この化石燃料を使って走る車や施設が増加しているのとは対照的に、二酸化炭素を吸収する森林が牧草地 や畑、工場用地として伐採され減少が拡大して排出と吸収のバランスが崩れていることが温暖化の主な原因で す。光は通すが熱は通さない性質がある二酸化炭素は、木などの植物が吸収する以上に 排出量が増えると地球の周りに二酸化炭素の膜ができてしまいます。 例えると地球を断熱材で覆うのと同じ事で、地球から逃げるはずの熱が逃げて行く ことが出来ません。そのため地球の温度が上がり北極や南極の氷が溶けて海面が上昇し 小さな島は沈む事が予測されています。水資源への影響は雨の降る所へはより多く降りますが降らない地域は 降水量が極端に少なくなります。そして生態系への影響はもっと深刻で温暖化によって気温が上昇すると植物 の植生の変化でそれをエサにしている動物の絶滅も予想されています。このようなことから世界的な食糧危機 が起こると予想されています。日本の食糧自給率は40%です。60%を輸入に頼る日本は世界的な食糧危機が訪れ た時には深刻な影響を受けることになります。極端なことをいえば60%の人が餓死することを意味します。温 暖化で気温が上がれば今まで日本になかったマラリアなど東南アジアの風土病などが流行する恐れもあります。

日本での二酸化炭素発生源の4分の1は自動車から排出されています。日本の人口は世界の2%ですが二酸化 炭素の排出量は世界の5%でアメリカ、ロシア、中国についで日本は世界第4位の排出国です。日本の国土は世界 の1%ですが世界の車の約10%を所有しています。そして自動車から排出される排気ガスで公害が引き起こされ約 8万人の公害認定者がいます。1990年から2000年の10年間で産業分野からの温暖化ガスの排出量はほとんど変化 していませんが、民生部門の温暖化ガス排出量は2割以上も増加しています。個人の生活の仕方が以前に比べエ ネルギーを大量に消費するようになったということです。温暖化を防ぐには化石燃料の使用量を減らすことです。 今現在の温室環境でこれ以上気温を上げないためには化石燃料の使用量を60%以上も削減する必要があります。 60%もの化石燃料を減らすにはライフスタイルを変えなければ無理なことです。
民生部門での温暖化ガス削減効果が圧倒的に大きいものが車の利用を減らすことです。そこで提案なのですが二 酸化炭素などの温暖化ガスやPRTR法で発ガン性があり有害化学物質として指定されているベンゼンやホルムア ルデヒドなどの有害な排気ガスを排出する車での通勤を減らし自転車での通勤に変えてみませんか?私は24歳 の夏、アメリカを自転車で横断した経験があり、 25〜36歳くらいまでの約10年間、毎日、自転車で通勤してい ました。しかし、仕事の都合でどうしても自転車通勤を止めなければなりませんでしたが、 昨年(2002 年)の4月くらいからボチボチ乗り始め、10月くらいから本格的に自転車通勤を再開しました。 自転車に乗るのは好きで自信があり、昔取った杵柄とばかり自転車で出発しましたが、約15年間のブランクと寄る年波には勝てま せんでした。体力の衰えは想像以上のものがありました。我が家は会社から約8km離れています。以前はこの8 kmを難なく走れたのに昨年(2002年)の10月に自転車通勤をはじめた時にはきつかったこと。車では気づかない くらいの緩やかな上り坂をフーフー言いながら走りました。普通だったら「もう、やーめた。」になってしま うのですが、今回は諦めていません。やはりこの温暖化問題とPRTR法の有害化学物質は私にとって大きな危機 感です。

何かをするには目標があると達成しやすくなります。『BICYCING』(BICYCING ・September 1978)誌の記事に 「Tips for Beginning Bicyccls Commuters(自転車通勤をはじめるためのヒント)」(Nina Dougherty Rowe著) にこのように書いてあります。「The first step is to decide that you want to commute to work by bicyc le. So often peopl make excuses:“I’d like to, but I can’t because it’s not safe, it’s too hill y, it rains…” The truth is you can commute to work by bicycle if you want to, you’ll figure out how to deal with all the possible problems, 」(最初にあなたはどうしても自転車で通勤したいと思うこ とです。だけど、皆さんは自転車で通勤はしたいのだけれども、事故に遭ってはいけないので、たくさん坂道 があるから、雨が降るからなどと自転車通勤ができない言い訳をよく考えつきます。しかし、あなたがどうし ても自転車で通勤したいのであれば考えられる問題点は解決できます。)自転車通勤を長続きさせるためには、 どうして自分は自転車通勤をするのかという理由を見つけるといいと思います。私の場合は温暖化やPRTR法で すが、皆さんは、ダイエットのためとか、ガソリン代を節約するとか、運動不足を解消するためとかいろいろ あります。理由はなんでもいいのです。それで皆さんが自転車で通勤をして下されば少しでも二酸化炭素や有 害化学物質の排出量を減らすことができます。

自転車通勤は何も難しい事ではありません。自転車に乗れない人は別として、ただ、自転車に乗り、ペダルを 踏むだけです。そうすれば新しい世界が目の前に広がります。車や電車では気づかなかった音、景色や季節の 移り変わりにいち早く気づいたりと、今までとは違う時間を過ごせます。自転車通勤には別のメリットも色々 あります。運動不足でちょっと太り気味の人は無理なくダイエットができます。ある自転車通勤のホームペー ジに書いてありましたが84キロあった体重が68キロまで落ちたそうです。また、自転車はジョギングとは違い 心臓とヒザに負担を掛けないので運動不足の人や年輩の方々も安心してはじめられます。運動をするためにわ ざわざ時間をつくる必要もありません。通勤時間が即、運動の時間になります。車で通勤をされている方は朝 夕のラッシュから解放されます。電車で通勤をされている方はぎゅうぎゅう詰めの満員電車から解放されます。 とにかく自由なのです。最初は無理をせず1週間に1度でもいいのです。そして徐々に回数を多くして行けばな んなくこなせるようになります。私は今、仕事の都合で週に2日〜6日の割合で行っています。

皆さんは「ダイエット」という言葉を何げなく使っておられます。ですが、ダイエットほどエネルギーの浪費 はありません。化石燃料を使い畑や田を耕し苗を植え種を蒔いて化石燃料からつくられた肥料や農薬を使い、 化石燃料を使って刈り取り、化石燃料を使って保存をします。化石燃料を使ってつくった家畜の飼料で家畜を 育て肉を生産します。日本の食糧自給率は約40%です。あとの約60%は海外から化石燃料などを大量に消費して 栽培し運んできます。そして港や空港から化石燃料を使って何段階かの流通経路を経て小売店に並べられます。 その小売店では冷蔵庫など化石燃料を消費するショーケースや陳列台に並べられ、その店舗の冷暖房にまた化 石燃料を使用します。それを小売店まで皆さんが車などで化石燃料を使って買いに行き、化石燃料でつくりだ したエネルギーで機能する炊飯器やガスコンロを使って料理をつくり、はじめて皆さんの口に入ります。大量 にエネルギーを使ってつくられた食事を食べ過ぎて太ったからと今度は化石燃料を消費する車でスポーツジム に行き化石燃料を使う冷暖房の完備してある建物の中でダイエットをする。これほどエネルギーの無駄遣いが あるでしょうか。毎日新聞記者で消費中毒からの離脱を記録した『たのしい不便』(福岡賢正 著・南方新社・ P.24)にこのように書いてあります。「エネルギーやお金を使って車や電車で移動しながら、運動不足解消や 減量のためと称して冷暖房完備のスポーツクラブでさらにエネルギーやお金を使って車輪のない自転車をこぎ、 ベルトコンベアーの上を走る。子どもや孫たちの資源を食いつぶし、その未来を踏みにじりながら。そんな現 代人のありようが、とても滑稽なものに思えてきた。自分もついこの前までそれに疑問を感じるどころか、今 風でかっこいいと思い込んでいたのだが…。」現在の日本は海外の資源や食糧がなければ生きて行けない国に なっています。それなのにそのことに気づかないで浪費に夢中になって、冷めた目で見てみれば愚かなことを 当たり前のことのようにしています。「ひとり、ひとつき9000円」という『うおつか流 台所リストラ術』 (魚柄仁之助著・農文協)でお馴染みの魚柄さんと今年の1月に話す機会がありました。その時に「冬は暖房を 一切使わない。夏も冷房を使わない。移動は自分の足を使い、1日、10〜20kmくらいは歩く。」と言われていま した。魚柄さんのような生活を皆さんがする必要はありませんが、少しでも化石燃料を節約する生活を目指し て下さい。日本は食料40%、エネルギーは20%の自給率です。贅沢ができる国ではないはずです。宮崎駿監督の 『千と千尋の神隠し』の「カオナシ」は日本人の象徴だそうです。カオナシはお金があれば何でもできると思 っています。それと同じようにお金があれば食料やエネルギーを好きなだけ世界中から買えると思っていたら とんでもないことになるように思います。

車や他の交通機関は製造時、使用時、廃棄時にエネルギーを大量に使用します。それに対して自転車は製造時、 使用時、廃棄時にもエネルギーは最小で済みます。走っている時も大気を汚す排気ガスを出しません。道路も 傷みません。その上、健康にも良い。移動に車やエスカレーター、エレベーターなどに頼り、仕事でもデスク ワークで座ったままほぼ1日を過ごす生活で現代人は足を使わなくなりました。人間は足から衰えて行くといい ます。自転車はその衰えやすい足を通勤時にタダで鍛えてくれます。足を使わなければあなたの足は確実に衰 えてゆきます。
「長期間ベッドに寝たままでいると、筋肉の構成成分であるタンパク質が徐々に失われて筋萎縮を起こす。ま た、リン酸カルシウムの尿中排泄量が増え、骨ももろくなってしまう(これらの変化は下肢で顕著)。」 (『医者のぼくが医療常識を信じない理由』永井明著・講談社+α文庫・P.170)

我が家のその他の温暖化対策は先ず電気や車をなるべく使わないことです。電気製品で使っていないものはコ ンセントを抜いておく。電気コタツは故障を機に水を入れるポリタンクに石油ストーブで沸かした熱いお湯を 入れて使用しています。これだと電磁波も出ず子ども達にも安心して使用できます。お風呂のお湯は太陽熱温 水器のお湯を使用しています。夏はほとんど太陽熱温水器のお湯で済みます。お風呂の残り湯は洗濯に使用。 石油ストーブで沸かしたお湯は料理やコタツ、湯たんぽ、お風呂の追い炊き用に使用。冬、部屋で私が1人で パソコンを使う時には暖房器具は使わずに昨夜使用した湯たんぽをスリーピングバックの足下に入れその中に 入り椅子に座ります。こうすると足や下半身は温かですが頭は冴えています。我が家にはエアコンはありませ んので夏は自然の風と扇風機だけで過ごします。家の中の掃除も掃除機はほとんど使わず箒(ほうき)を使 用します。箒は非常に便利な道具です。床だけではなく天井から壁から障子の桟、サッシのレール部分などの 掃除ができます。夏、車のエアコンはほとんど使わない、その上、省エネ運転で燃費を向上させています。土 曜日は会社に私1人しかいませんので冬は暖房を夏は冷房を使用しない。洗濯は下着と靴下こそ毎日着替え ますが、冬、汗はかきませんので上着などは2〜3日着てから洗濯します。夏は汗をかきますので毎日洗います。 服は家庭の洗濯機で洗えるものを基本に買います。髪を洗っても自然乾燥でドライヤーは使わない。髪も椿油 以外の整髪料は一切付けませんのでドライヤーを必要としません。我が家の電気代は夏冬ほとんど変わらず月 に3,000〜4,000円くらいです。灯油は年間360リットル位で金額にしたら約15,000円です。ガス代も月に3,000 〜4,000円です。

楽あれば苦ありといいます。地球が誕生して現在が一番楽をしている時代ではないでしょうか。そうすると今 からは苦の時代が訪れるということではないでしょうか。苦の時代の訪れを少しでも防ぐには、それぞれが、 それぞれで出来る省エネを考えていただければいいと思います。その第一歩が「自転車通勤」です。



エコロジカル・ヘルシーショップ三友 桧垣史郎
2003年4月
 
 
 
引用・参考文献
『BICYCING』 BICYCING ・September 1978
『たのしい不便』 福岡賢正 著・南方新社
『医者のぼくが医療常識を信じない理由』永井明著・講談社+α文庫
『カリスマ主婦を探せ』日経流通新聞・2003年4月8日


(注意)
自転車通勤では注意する点が少しあります。それは交通事故です。実は私自身が今年2月(2003年)、急に脇道 から飛び出してきた車を避けきれずに車にぶつかってしまいました。自転車には約16年間乗っていますが、初 めての事故です。自転車は車とは違い身を守るものはなにもない無防備な弱い立場です。車にはねられ頭を打 ち死亡したという話はよく聞きます。必ずヘルメットはかぶりましょう。それと車のドライバーに発見されや すい目立つ服装をして下さい。私はサッカーの練習試合の時に着る黄色の蛍光ベストを事故以来着て走ってい ます。

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