− 日本の牛乳と狂牛病(BSE・牛海綿状脳症)について − 

 
「畜産関係の団体に勤務しています。(中略)桧垣氏が『安全面での保証がされていない、栄養的にも価値の ない牛乳のカス』と断罪しているのは、全くの誤認です。記述内容に対してここでいちいち反論すると長くな るので、WEBサイト『ミルクの館』を紹介しておきます。」と「ミルクの館」を紹介された方がおられました。そ のミルクの館のホームページで「わが国では、牛の脳、脊髄などを食用にする習慣がないこと、またこれまでの BSE対策により、人がvCJDを発症する心配はほとんどないと 考えられています。」と牛乳を勧めるサイトでも人にBSE感染者が「絶対に出ない」とは言っておりません。 やはり、畜産関係者も日本のBSE対策は万全だがBSE感染者が絶対に出ないとは公言していません。やはり数パ ーセントの不安はあるようです。
「現在のところ変異型の報告はありません。狂牛病がうつった人は、まだ発見されていないのはまちがいないで しょう。ただし、今後もでないとはいいきれません。問題は、潜伏期間です。狂牛病の牛が確認されたという ことは、異常プリオンがかなりひろがっているわけで、すでに狂牛病の牛肉が口に入っているかもしれません。 潜伏期間が短ければ何年か先に患者さんが何人も出るということもあります。 (『牛肉が食べたい』里見 宏著・(株)ジャパニスト社・P.31)

安全か危険かは不完全な人間が人間の知識でもって判断します。判断する人がどのような立場にいるかで、ある 食品が安全になったり危険になったりするという現実が日本にはあります。狂牛病(BSE・牛海綿状脳症)が日本 で発生する前に国は「万全な対策をとっており、国内発生はあり得ない。」 と言っていましたが狂牛病(BSE・牛海綿状脳症)は発生しました。狂牛病(BSE・牛海綿状脳症)発生以 後は「牛海綿状脳症に感染した牛の肉等が出回ることはありません。牛肉は安心して 食べられます。」(農水省ポスター)と国は言っていますが、最近の原子力発電所など安全 と言っていた施設で常識では考えられない事故や、万全の対策をとっていたにも関わらず今回の狂牛病(BSE・ 牛海綿状脳症)の日本での発生など前例がありますので私はいっさい信用しておりません。
牛肉や牛乳の安全、危険の判断は不完全な人間がするものです。この世の中何が起こるかわからないのです から日本での狂牛病(BSE・牛海綿状脳症)は数年あるいは数十年経過してみないと本当のことはわかりません。 アトピーの人に処方するステロイドも10年くらい経過して副作用の問題が表面化しました。いくら安全といっ ても今まで経験したことのないものを、すぐに安全とは断定できないように思います。

その点、その国、その地域で昔から食べられていた食物は先人がすでに人体実験をしてきて安全性は証明され ているのものです。昔からその国、地域で食べられていたものは何故食べられていたのか科学的な裏付けがあ るものです。塩分は体を温め、糖分は体を冷やす効果があります。そのため寒い地域では塩分を多く摂取しま すし、体を冷やすため暑い地域では糖分を多く摂取します。それを裏付けるように北に行くに従い塩辛い食べ 物が多くなり植物も体を温めるナトリウムを多く含みます。南に行くにしたがい甘い食べ物が多くなり体を温 める塩分を排出するカリウムを多く含む植物が多くなっています。「所かわれば品かわる」といいます。ヒト や動物、植物の色も北と南では違います。目の色から腸の長さなど気候や採れる食べ物で違ってきます。アメ リカで実験され分かったことですが白人は塩分を多く摂っても体に害はほとんどないそうですが、黒人にとっ て塩分は体に悪いそうです。白人はもともと北欧の寒い国の出身です。寒い国では体を温めるため塩分を多く 摂ります。その塩分を摂って体を壊していたのでは生きて行けません。その反対に黒人は暑い国の出身です。 塩は体を温める作用をするため南国に住む人が塩分を多く摂っていては暑い国では過ごせません。北海 道のネズミに南国で採れたバナナを与えると3週間くらいで体調を崩すそうです。昔から四里四方で採れたもの を食べていれば健康でいられると言われていました。「郷に入っては郷に従う」です。その国、その地方で育 った動植物はその地域の気候に合っています。その地域でとれた物を食べることが健康には欠かせません。も ともと牛肉や牛乳は、麦などの穀類が寒さのため栽培できない北国や寒い地域の人々の食べ物です。そのような北国 の食べ物である牛乳を豊かな食物のある日本の学校では強制的に飲ませていますが、強制的に飲ませるほどの 科学的根拠があるのかどうか疑わしい限りです。科学は人の違いや食物の違いは考えてはいません。科学は人 間や食物をどこの物でもすべて同じと考えてすべてをおこないます。そこに間違いがあります。
「食養には、身土不二という言葉がありますが、近いところのものをとっておれば、さしつかえないというこ とです。」(『わら一本の革命』福岡正信著・春秋社・P.117)

それにしても、紹介されたこの「ミルクの館」には誤った記述がたくさんあります。例えば「草から牛乳」とい うページでは「牛は人間が利用できない草をたべ、微生物の助けを借りて消化し、栄養価の高い乳や肉を生産 する。このようにして草が牛乳に変わる。」(ミルクの館ホームページより)と日本の乳牛はあたかも草のみを 飼料として与えられているかのように書いてあります。実際に乳牛に草のみを与えていたのであれば日本で狂 牛病(BSE・牛海綿状脳症)は発生していなかったはずです。飼料として草だけを与えていたのでは脂肪分の濃い 乳は出ないし、乳の量も少ない。高度成長で日本人の所得が増え余裕ができるのと同時に牛乳の栄養価を国な どが喧伝するのですから牛乳の消費量は増えて行きました。牛乳の消費量が増えれば増えるほど粗飼料では生 産が追いつかなくなり、生産量の向上を乳牛メーカーから要求されれば自然とお乳の出がよくなる濃厚飼料や 配合飼料に酪農家は依存して行きました。
ミルクの館のホームページに書いてあることとは反対に実際の現場では濃厚飼料や配合飼料を与えるため牛の健 康にとって重要な機能をはたす牛の第一胃本来の機能は衰えてしまっています。「濃厚飼料だけ与えた牛群の 牛の第一胃(ルーメン)には潰瘍が多発し、また、胃壁も弱いことを知った。さらに胃潰瘍のある牛では肝臓 に膿瘍の発生しているものが多かった。従って、胃潰瘍のある牛は、胃だけでなく、血液の中を通って肝臓ま で細菌が運ばれているわけで、厳密に言えばからだ中が細菌に汚染しているわけである。 これらの牛から搾られる牛乳がまったく健康な良質なものだとは誰も思わないだろう。 (『80年代の日本酪農』日本獣医畜産大学 磯山政恵教授/酪農事情社刊)」(『牛乳神話完全崩壊』外山利通 著・メタモル出版・P.97〜P.98)牛乳は牛の血液からつくられます。その血液が細菌で汚染されているのです から必ずしも良い牛乳とは言えません。そして、食べさせられているのは草だけではないということと、牛が 不健康であり牛乳の質も落ちていることを日本獣医畜産大学の教授も認めているのですから日本の牛乳の品質 が悪いことは明らかです。低温殺菌牛乳をつくるには牛乳の品質が良くないとできません。 しかし、日本の牛乳は細菌などで汚染され品質が悪く、130度という超高温で殺菌をしないと危ないために、 超高温殺菌牛乳が製造されています。そのため生乳には含まれているビタミンCなどが壊れ栄養価のない牛乳が 出来上がります。2003年3月6日の朝日新聞朝刊に『食べ方が変える生産・eーびーふ』に「わざわざトウモロ コシを輸入して牛に与える。こんなこと、いつまでも続くはずないよね」と北海道のポテトチップ工場から出 たジャガイモの皮やカットくずなどを飼料として牛に与えている牧場主の言ったことが書かれていました。そ して、「輸入飼料をたくさん与え、脂ののりのよい牛肉を作ることが『良』とされてきた。だが、農水省も輸 入飼料を減らし、国産牧草など粗飼料の増産・利用を促す。」と草以外の輸入穀物飼料を与えていることを農 水省も認めています。それを「ミルクの館」ではあたかも草のみを飼料として食べさせて育てているかのよう に書いています。

牛は草を食べることで健康を保てます。それを草以外の飼料で飼育されるため健康を害しています。以前、生 まれながらに網膜芽細胞腫というガンの一種で目を摘出しないと転移する可能性が高いと診断された赤ちゃん がいて、お母さんが厳密な玄米菜食をした結果、良いお乳が出て医師も驚くぐらい赤ちゃんの腫瘍が小さくな り目を摘出しなくても治ってしまったということを紹介しました。(『がん患者学』柳原和子著・晶文社・P. 193)その動物が本来食べるべきものを食べていればお乳もいいお乳が出て子どもの病気さえも治してしまうほ ど動物にとって何を食べるかは健康を左右する重要な要素です。このようにお乳の善し悪しがお乳を飲むもの の健康を左右します。獣医畜産大学の教授も認めている病気の牛のお乳を飲むことは自らが病気になるために 牛乳を飲むようなものです。

動物はそれぞれ食べるものが決まっています。ライオンなど肉食動物に肉を与えずに野菜だけしか与えなけれ ば病気になります。その反対に草食動物に肉類だけを与えればやはり病気になってしまいます。コアラはユー カリの葉しか食べませんが病気にはなりません。ユーカリ以外のものを与えると病気になります。人間も同じ です。穀類6割、野菜類3割、肉・魚類を1割の割合で食べていれば健康でいられるのですが、市販されている弁 当を見れば分かるように、まったく逆になっていて肉類などのおかずが異常に多い食事になっています。その ため医療費30兆円という病人大国になったという事実があります。このように牛が本来食べるはずの草をあま り与えずに穀物や動物性飼料を与えるため病気になります。それを「ミルクの館」では「牛は人間が利用できな い草を食べ、微生物の助けを借りて消化し、栄養価の高い乳や肉を生産する。このようにして草が牛乳に変わ る。」(ミルクの館ホームページより)などと、草を食べるから栄養価の高い牛乳が採れるかのように消費者を 錯覚させる記述を掲載しています。
この「ミルクの館」というホームページは牛乳を生産・販売する側が運営しているサイトです。そのため自分た ちにとって都合のいいことしか書きません。酪農の実体などまったく知らない消費者は簡単にミルクの館の書い ていることを信じてしまいます。それを防ぐには情報はどこが発信しているかを確かめて、その情報の信憑性 を確認して下さい。

牛乳をあたかも完全栄養食品のように栄養価が高いとして学校、病院、家庭で日本中の多くの人に飲まれてい ますが、実際はみなさんが思われているほど栄養価は高くありません。自閉症や言葉の遅れを持つ子供さんを 治療する「ルナ子ども相談所」(所長 岩佐京子氏)のことが『牛乳神話完全崩壊』(外山利通著・メタモル 出版・P.76)に紹介してあります。「子どもへの牛乳カットを続けた場合には、逆に野菜ぎらいが直ったり、 アレルギー疾患なども改善されています。岩佐氏は子どもの症状について、食生活はもちろん、日常生活、社 会環境、親の接し方などをトータルにみていくといいます。そのうえで総合的に診断するのですが、牛乳が子 どもに害を与えていることには大きな確信を抱いています。牛乳神話に疑いを抱いた岩佐氏自身が直接、検査 機関に依頼して市販牛乳の成分を調べた結果からも、『不完全栄養食品』という結果が出たからです。この検 査機関の分析結果でも前に指摘した通り、牛乳の酸化を防ぎ品質を保つために必要なビタミンC、Eがほとんど 含まれていませんでした。ビタミンAも非常に少なく、ビタミンDにいたっては分析不能とされました。人間の 健康に欠かせない微量必須ミネラルもほとんどないうえに、この分析では有害ミネラルのアルミニウムさえ検 出されたのです。」
牛乳を推進する側は牛乳には豊富な栄養があるので体に良いと言っていますが牛乳の栄 養素をどの段階で検査したかで栄養の内容が違ってきます。牛から乳を搾った直後か、それとも乳業メーカー に届いてからのものか、製品になって店頭にならんでいるものかで栄養価はかなり違ってきます。野菜なども 採れてから時間が経てば経つほど栄養価は落ちてきますし、食べ物を煮たり焼いたりすれば熱が栄養成分を壊 すことはみなさんもご存じだと思います。日本の牛乳のほとんどは超高温殺菌で処理されているのですから搾 りたてのものよりも高温で処理された後のものとでは栄養価は完全に違います。岩佐氏は市販されている牛乳 を買って検査をして栄養価がないという結果を得ておられます。消費者は店頭にならんでいるものを飲むわけ ですから、岩佐氏が検査した牛乳と同じで栄養価は期待できないということです。それなのに「牛乳は全く殺 生しないで得られる自然の食物だからなのです。しかも栄養学的に完全食品なのです。」(ミルクの館より)と、 牛乳推進派は牛乳には栄養があることを主張しています。

私が子どもの頃、牛乳を毎日飲んでいる家庭というのはほとんどありませんでした。私も牛乳を小学校に通う までは飲んでいませんでした。牛乳を飲んでいたと言いましても私の小学生時代にはだれもがまずいといいな がら飲んだ「脱脂粉乳」を飲まされていました。ですが、中学、高校の時は脱脂粉乳も牛乳も飲んでいません でした。学校に通わない私の家族も乳製品は飲んでいませんでした。だからといって小学生の私以外の家族の 骨が弱かったり、栄養不足ということはまったくありませんでした。私が家族を持った現在も私が小さい頃と 同じで学校に通っている子ども以外は牛乳を飲んでいません。私の子どもは家では牛乳や乳製品を年に何回か 飲むだけです。私の子ども以外のお子さんは家庭でも牛乳を飲んでいる子がほとんどです。だからといって私 の子どもの身長が他の同級生に比べて特別低いとか栄養不足や不健康とかはまったくありません。むしろ、風 邪もあまり引かないし、病気らしい病気はほとんどしません。花粉症などの現代病はだれもなっていません。 牛乳を飲まない代わりに米の消費量は他の家族よりも多いと思います。4人家族で、子どもは二人とも小学生で すが米の消費量は1ヶ月に約30kgです。だからといって太ってはいません。むしろ、どうしたら脂肪がもう少し 付くだろうかと思うほど肥満という言葉とは無縁です。哺乳動物は赤ちゃんの時こそお乳は飲みますが、歯が 生えてきたらお乳は飲まなくても育ちます。野生の哺乳動物はスーパーでお乳を買うことは出来ませんので母 親のお乳が出なくなれば飲みません。それでもちゃんと育っています。ハチミツは大人には良い食べ物でも乳 児にとっては毒になることがあります。それと同じように大人になれば飲まなくてもいいものを飲むことは毒 を飲むようなものです。
「牛の毒だから『モー毒』です」(『牛乳神話完全崩壊』外山利通著・メタモル出版・P.38)



エコロジカル・ヘルシーショップ三友 桧垣史郎
2003年5月
 
 
 
引用・参考文献
『ミルクの館』ホームページ
『わら一本の革命』福岡正信著・春秋社
『牛肉が食べたい』里見 宏著・(株)ジャパニスト社
『牛乳神話完全崩壊』外山利通著・メタモル出版
『がん患者学』柳原和子著・晶文社
『食べ方が変える生産・eーびーふ』朝日新聞朝刊・2003年3月6日
『粗食のすすめ』幕内秀夫著・東洋経済
『伝統食の復権』島田彰夫著・東洋経済
『牛乳通信』山口県学校給食用牛乳供給事業推進協議会・2003年3月
『東洋の智恵は長寿の智恵』渡辺昇一・石原結實 著・PHP研究所



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