− 薬と規制緩和 − 

 
規制緩和で胃薬などの一般薬がコンビニでも買えるようになるということで色々な議論がなされました。その 中で2003年7月4日朝日新聞朝刊『声』に薬剤師の方が『恐れを忘れた薬のモノ扱い』という投稿をされていま した。「確かに便利でしょう、コンビニで薬がかえれば。しかし、あとで困るのは国民ではないでしょうか。 沈痛な表情をつくり『簡単な薬でも医薬品というのは人を殺す道具にもなり、怖い』と言っていたニュースキ ャスターが、『副作用なんて箱に書いてある通りにのんどきゃ大丈夫』と変わっています。薬を単なる『モノ』 として扱うことが私には恐ろしい。日本には『薬を恐れて用いる』という文化があったと思います。それが長 寿の要因になっているのではないでしょうか。薬を正しく使える大人が多数である今はまだいいですが、『恐 れる』ことを知らずに育った子どもが大きくなった20年後、ドラッグにまつわる事件・事故がとても心配です。 規制緩和による負の側面を見逃し、『便利さ』と引き替えに失うものが大きいことはこれまでにも色々ありま したよね。」
(『恐れを忘れた薬のモノ扱い』薬剤師 中村 賢・2003年7月4日朝日新聞朝刊『声』)

国や製薬会社は今まで薬は安全というように発言していたような気がします。薬局や病院でも薬を患者さんに 渡す時に副作用など薬の危険性の説明はまったくなかったような気がします。薬はいつから危険なモノになっ たのでしょうか。今まで国や製薬会社は薬の作用ばかり強調してきて副作用はひたすら隠してきました。その ため「薬は安全」だとだれもが思っているのではないでしょうか。安全だからこそお年寄りの患者さん に山盛りの薬を出していたのではないでしょうか。それも患者さんに薬を渡すときに「飲むのは食前です」と 飲む時間の事は説明しますが、「この薬にはこのような副作用があります。もしも、そのような症状が出たと きには、このように対処して下さい。」というような説明は聞いたことはありませんでした。そのためほとん どの人は「薬は安全」だという認識しかないと思います。
「薬による死亡は交通事故死の五倍以上」(『よくない治療、ダメな医者から逃れるヒント』近藤 誠著・講 談社+α文庫・P.79)

薬の知識は薬剤師よりも劣る医師が薬の処方箋を書くというのも変なことです。薬を危険というのなら患者の 病気の症状を薬剤師に相談して医師と薬剤師でどの薬を処方するかを検討して薬を出すのがベターだと思いま す。薬のプロである薬剤師でさえ万とあるすべての薬の作用、副作用を掌握できているとは思えません。その ため医師が老人の患者さんに山盛りの薬を処方しても今まで平気で医師の処方したままに薬を出してい たのではないでしょうか。老人医療制度の改正で、山のように薬を出せなくなったことにより、薬の副作用が 少なくなり、お年寄りの患者さんが元気になったということが学会で話題になったと新聞に出ていました。 そして、『病気は怖くない』(志賀 勝著・はまの出版・P.101)にも「医薬品監視機関の『薬害オ ンブズパースン会議』が喘息の吸入薬『フェノテロール製剤』の販売量が大幅に減るのと相関して喘息の死亡 率が低下しているという調査結果を発表した。」ということが書いてありました。ということは薬の副作用か 薬の毒性でお年寄りや喘息患者の元気を奪い、病気を重くしていたということです。これは、医師が薬のことを 理解していないか、金儲けのために患者さんの健康の事は考えずに「薬を出せば儲かる」と多く出していた かのどちらかでしょう。コンビニで薬を買う時に病院で出すように色々な種類を山盛りになるくらい買う人は いないと思います。たぶん買うとしても胃薬を1瓶とかカゼ薬を1瓶買うのがせいぜいだと思います。それでも 危険と厚生労働大臣が言われるのですから病院で出す山盛りの薬は相当危険だと思います。薬剤師の方が新聞 に投稿されているように薬が危険と分かっているのならば、山盛りに出す薬のことについて医師に危険だから出 さないようにと進言できたはずです。それもしていないのに今さら『薬を恐れて用いる』というのも何か変で すね。
「日本の医者たちが患者一人当たりに処方する薬の数が、米国よりずっと多いことを考慮に入れなければなりま せん。それに比例して有害反応の頻度が高くなり、薬同士が影響しあう『相乗効果』によって有害反応の程度 ・頻度はさらに高くなる。」(『よくない治療、ダメな医者から逃れるヒント』近藤 誠著・講談社+α文庫 ・P.79〜80)

日本には46年間、学童にインフルエンザワクチンを義務接種してきて接種の効果がないと して法律によってワクチン接種が中止された経緯があります。それにもかかわらず2001年 、高齢者のインフルエンザによる死亡を防げるとしてインフルエンザワクチン接種が再開 されました。急性脳炎・脳症について原因を究明せず、原因を曖昧にし たまま法律を施行するとは誰のための法律でしょうか。「製薬会社は新薬の開発には莫大なお金をかけている ので、一度認められた薬は大量に販売し利益を上げようとするため、新たな副作用の公表にはどうしても消極 的になる。また厚生省の高級官僚が製薬会社の中枢に天下りしているため、薬害の早期防止には構造上の欠陥 があることも否めない。」(『さらば、かぜ薬』臼田篤伸著・三一書房・P.69)このように製薬会社と官僚と は切っても切れない縁があるためのインフルエンザワクチン接種再開ではないでしょうか。「子供たちの健康 を守るはずの予防接種行政の後ろには絶えず黒い影が見え隠れしているのである。」(『さらば、かぜ薬』臼 田篤伸著・三一書房・P.69)インフルエンザワクチンの効果を認めている医師が少ないのにワクチン接種再開 です。
日本のインフルエンザワクチンは欧米などのインフルエンザワクチンとは違います。「日本のインフルエンザ ワクチンはウィルスの表面のスパイクの部分を取り出して、それを抗原にした部分ワクチン。欧米のワクチン はウィルス全体を抗原にする弱毒化ワクチンや、もう少し広い範囲の部分を抗原にしたものであり日本のもの とは異なる。」(『うってはいけない!インフルエンザ予防接種』山本英彦・日本消費者連盟編・P.31)部分 ワクチン(不活性ワクチン)のため欧米の生ワクチンよりも接種効果は落ちます。しかし、効果の少ないワク チン接種は受け入れられないので厚生労働省はアメリカの生ワクチンを接種した時のデーターを使用していか にも接種効果があるかのように見せかけています。ワクチン接種を再開するのが目的で国民の健康のためでは ないことは以上のことからも分かると思います。誰のためかと言えばワクチンメーカー、官僚、医師や病院の ためだと思われても仕方ないと思います。国が本当に国民の健康のことを思っているのなら46年間、学童 に義務接種してきて接種効果がないことが証明されているのですからインフルエンザワクチン接種の再開はな かったはずです。これも薬を金儲けのためにモノ扱いしています。
「小児科医師会の医師を対象にした調査を見ても、インフルエンザワクチンについてはわずか七%の人しか効果 を認めていない。」(『さらば、かぜ薬』臼田篤伸著・三一書房・P.62)

日本ではインフルエンザで年間約300人が脳炎・脳症になり約100人が死亡しています。インフルエンザで急性 脳症になるのは日本と台湾だけのことでアメリカなど他の国では起こりません。何故でしょうか?完全には解 明されてはいませんが解熱鎮痛剤が原因ではないかと言われています。解熱鎮痛剤で脳炎・脳症になる可能性 が高いことを厚生労働省が因果関係をあいまいにしていたため日本では解熱鎮痛剤をインフルエンザの患者に 処方してきました。日本消費者連盟などは以前から解熱剤の副作用についての危険性を訴えていましたが、国 や医療界はずっと無視してきました。効果のないインフルエンザワクチン自体の副作用と、その上に解熱鎮痛 剤の副作用が加わっているにもかかわらずにです。最近、やっと厚生労働省がインフルエンザの疑いのある子 どもに解熱鎮痛剤を使用するとインフルエンザ脳炎・脳症を悪化させる恐れがあるため使用しないよう日本医 師会や日本薬剤師会に呼びかけ始めました。今までインフルエンザ患者に解熱鎮痛剤を使用した後に急性脳症 がおこっていたため海外では脳炎・脳症を悪化させるとして解熱剤は使用が禁止されていましたし、大阪赤十 字病院の山本医師などが指摘していたのですから日本医師会や日本薬剤師会にも分かっていたはずです。しかし、 厚生労働省からの通知がなければ使用を続ける体質です。「薬を単なる『モノ』として扱うことが私には恐ろ しい。」(『恐れを忘れた薬のモノ扱い』薬剤師 中村 賢・2003年7月4日朝日新聞朝刊『声』)と書かれてい ますが「薬を単なるモノ扱い」にしているのは医薬業界や医療業界ではないのでしょうか。
『さらば、かぜ薬』に医師仲間同士の会話が紹介されています。「かぜでもはやってくれないと、こんなひど い医療費のしめつけをされたんじゃつぶれちゃうよ(『風邪をひかないくらしの智恵』(高橋昭雄著・労働旬 報社)」(『さらば、かぜ薬』臼田篤伸著・三一書房・P.64)と風邪の治療でしか儲からなくなったからこそ 効果のないインフルエンザワクチン接種を再開させて儲けようとしているとしか思えません。いままで日本薬 剤師会は危険な解熱剤を使うことを許しておいたり、効果がなく、副作用のある危険なインフルエンザワクチ ンに反対もせず再開させているのに薬の規制が緩和され薬剤師の権益が侵されると分かると、今度は一転、急 に薬は危険と言い出すのはおかしいのではないでしょうか。 「高齢者死亡についてのこの論文は、ワクチ ン群では死亡が六/九二七例、偽薬群で三/九一一例となり、有効率はマイナス一〇〇%となっているのです。 つまりワクチンをすると死亡が二倍になってしまうという結果となっていました。」(『うってはいけない! インフルエンザ予防接種』山本英彦著・日本消費者連盟編・P.29)

インフルエンザワクチン接種による副作用の認定が困難という問題もあります。不活化ワクチン(毒性の強い 病原体を殺してつくったもの)による被害認定基準は接種後48時間以内となっていますが、副作用が現れるの は接種後28日以内という結果が『予防接種後健康状況調査』などの調査で出されています。これではワクチン 接種による副作用が出た人のほとんどが認定を受けられません。(『うってはいけない!インフルエンザ予防 接種』山本英彦著・日本消費者連盟編・P.35)その他にも65才以下の任意接種の人に副作用が現れた場合も行 政からの救済はありません。このような副作用の認定方法などを国民に詳しく伝えて予防接種をしているので しょうか。ただ、インフルエンザに罹ると脳炎・脳症になり、ひどいときには死ぬ場合があるなどとマスコミ を使い国民に恐怖心を植え付けることばかりをし副作用のことは一切表に出さずに接種を呼びかけてはいません か。
「小児科の毛利子来氏と予防接種情報センター所長の藤井俊介氏により以下のような告発がなされている。 『予防接種禍に遭った被害者とその家族の置かれた状況は実に悲惨なものです。それは一言でいえばこの世の 地獄です』と述べた後、何人かの被害の実例が紹介されていた。」(『さらば、かぜ薬』臼田篤伸著・三一書 房・P.53)

『日本の医療を問いなおす 医師からの提言』(鈴木 厚著・ちくま新書)という本の「クスリを投与する医師 の心理」というページにこのように書かれています。「さらに科学的根拠はありませんが、クスリ一剤よりも多剤を投与した方がよく効く と思い込んでいるのです。」(『日本の医療を問いなおす 医師からの提言』鈴木 厚著・ちくま新書・P.117)
科学的根拠云々といっている現代医療ですが、薬に関しても医師の無知からかどうかは分かりませんが非 科学的医療行為をしています。厚生労働大臣が危険と言った薬を医師の思いこみで処方するのですから科学的 根拠もあったもんではありません。慶応大学講師の近藤医師が『よくない治療、ダメな医者から逃れるヒント』 に風邪をひいたときにどのように行動することが危険かを書かれています。「医者ではない一般人もそれまで の経験から、かぜだな、と思うはずで、それはたいてい当たっています。が、自分で診断をつけても、対処法 となると人によって大きく異なり、およそ三通りに分かれるでしょう。一つは、薬を飲まずに治るのを待つ。 二つ目は、薬局でかぜ薬を買う。そして第三は、医者にみてもらう、です。このうち読者がどれを実行してい るか、医者のもとを訪ねる人も少なくないはずです。しかし、結論から先に言うと、おそらくそれが一番危な い。種々の薬を出されることが多く、それがかぜに対しては無意味な反面、副作用をもたらすからです。」 (『よくない治療、ダメな医者から逃れるヒント』近藤 誠著・講談社+α文庫・P.168〜P.169)というように かぜ薬は風邪には効かず、副作用の方が恐いと言われています。風邪の症状は体が風邪と闘っているために起 こります。しかし、病院で処方される薬は風邪を治そうと体が闘っているために出ている症状を抑えるための 薬です。そのため風邪薬を飲めば風邪が治らず長引きます。しかし、『日本の医療を問いなおす 医師からの提 言』の著者の鈴木医師と同じように日本の病院は薬を多く出すことは周知の事実です。薬の副作用のことは考 えず、とにかく薬を多く出す方が効くと思い込んでいる医師がほとんどだとしたら、薬の副作用で苦しんでい る人も沢山いるということだと思います。2003年8月9日の朝日新聞『カルテの余白』に52才の乳ガンの女性の 事が書いてありました。北海道の病院で乳ガンの手術を受けて再発したが、地元では不安なためか国立がんセ ンターを受診。がんセンターの渡辺医師が話を聞くと再発後も外科医が治療を担当して抗ガン剤をいくつも取 り混ぜて使っていたそうです。「彼女の場合、薬が効くかどうか一つひとつ確かめながら使うのが標準的だ。 数種類を同時に使うと、どれが効いてどれが効かないのかが分からず、治療方針を組み立てられない。 (『カルテの余白』元国立がんセンター中央病院内科医長 渡辺 亨・2003年8月9日朝日新聞朝刊)抗ガン剤は ガンを殺すこともできますが反対にガンもつくり出します。抗ガン剤の発ガン性は薬の中でも一番高いという ことが実験で分かっている危険な薬です。それにしてもその一番危険な薬の使い方があまりにもいい加減です。 もう少し『薬を恐れて用いる』文化を大切にしていただきたいと思います。
「世間で一流とされる大学病院でも科学的根拠に乏しい治療が行われることが少なくない。」 (『カルテの余白』元国立がんセンター中央病院内科医長 渡辺 亨・2003年8月2日朝日新聞朝刊)



エコロジカル・ヘルシーショップ三友 桧垣史郎
2003年8月
 
 
 
引用・参考文献
『恐れを忘れた薬のモノ扱い』薬剤師 中村 賢・2003年7月4日朝日新聞朝刊『声』
『よくない治療、ダメな医者から逃れるヒント』近藤 誠著・講談社+α文庫
『日本の医療を問いなおす 医師からの提言』鈴木 厚著・ちくま新書
『さらば、かぜ薬』臼田篤伸著・三一書房
『医者のぼくが「医療常識」を信じない理由』永井 明著・講談社+α文庫
『カルテの余白』元国立がんセンター中央病院内科医長 渡辺 亨・2003年8月2日朝日新聞朝刊
『カルテの余白』元国立がんセンター中央病院内科医長 渡辺 亨・2003年8月9日朝日新聞朝刊
『うってはいけない!インフルエンザ予防接種』山本英彦著・日本消費者連盟編
『病気は怖くない』志賀 勝著・はまの出版



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