− 人間のつくり出した科学的根拠の限界 − 

 
「厚労省は、国内初の感染牛発見から1ヵ月あまりたった01年10月18日に、食肉処理をする牛すべてを対象に した検査を全国一斉に開始した。同省は当初、検査対象を、狂牛病発症の可能性がある『生後30ヵ月以上』 に限っていた。しかし、『全部検査しないと消費者の不安が解消されない』とした自民党の意向に押され、 『食肉処理される全頭』と変更した。その後02年に自民党の調査団が国際獣疫事務局(OIE)を訪問した際には 、月齢の若い牛まで検査することは『科学的根拠がない』と指摘された。」 (『若い牛 広がる驚き』2003年10月7日付朝日新聞)
私の書いたコラム『日本の牛乳と狂牛病(BSE・牛海綿状脳症)について』で「この世の中何が起こるか わからないのですから日本での狂牛病(BSE・牛海綿状脳症)は数年あるいは数十年経過してみないと本当のこ とはわかりません。」と書きました。そして、私の予測は当たったのです。生後30ヵ月未満の子牛には狂牛病 (BSE・牛海綿状脳症)は発症しないというのが現代科学が出した科学的根拠です。そのためEU(欧州連合)では 狂牛病(BSE・牛海綿状脳症)の検査は生後30ヵ月以上の牛に限られていました。しかし、生後23ヵ月の牛に狂牛 病 (BSE・牛海綿状脳症)感染が日本で確認され、生後30ヵ月未満の牛は発症しないという科学的根拠はもろく も崩れてしまいました。このように人間の考えた科学的根拠がいかに無意味だということがお分かりだと思い ます。この宇宙のこと、地球のこと、自然のこと、動物のこと、人間のこと、微生物のこと、過去のこと などが科学的に100%すべて分かっているわけではないのになぜ科学的根拠は正しいといえるのでしょうか。 アトピーやがんの原因に対して現代科学は答えをまだ出すことができません。本当に科学が正しく絶対のもの なら何故、これらのことに答えが出せないのでしょうか。本当に科学がすべてのことに答えることができるの なら今年流行するインフルエンザの型をピタリと当てることも可能なはずですが、できません。天気予報にし ても同じです。薬の副作用にしても副作用が出るか出ないかを動物やヒトで試さなければ分からないのです。 新薬をつくった段階で動物やヒトで試さなくても科学という学問の力でどの様な副作用が出るのか分かるのな ら科学という学問をすごいと思いますが、それすら出来ない。現代科学で未来を予測するということは不可能 なのです。もしも、未来が予測できるのであれば今回起こった生後30ヵ月未満の牛にも狂牛病(BSE・牛海綿状 脳症)が発症するということが予測出来ていたはずです。今、地球の環境を壊しているのは科学で生み出され たものです。科学が未来を予測できる学問ならば何故、科学が生み出したもの(例えばフロンガス)が将来、 地球環境を破壊することが分からなかったのでしょうか。このようなことも分からないのに科学が出した科学 的根拠は正しいとみなさんが信じられていることが私には信じられません。

以前、ベーターカロチンは肺がんを予防できるということが言われ、ベーターカロチンブームが起こりました。 現代でもインターネットで「がん ベーターカロチン」で検索するとベーターカロチンによる肺がん予防の有効 性を謳ったページがまだたくさんあります。しかし、以下に記すような試験でベーターカロチンは肺がん 予防に有効ではないことが証明されています。「先進国でビタミンを付加したら、がんがかえって増えてしま った試験があります。フィンランドで三万人の喫煙男性を対象におこなわれたくじ引き試験がそれで、ビタミ ンEは何の影響も与えませんでしたが、ベーターカロチンを飲んだ群は飲まない群にくらべると、肺がんの発生 率が一八パーセントも増加したのです。おまけにベーターカロチン群は、肺がんと心疾患による死亡が増えて、 飲まない群より総死亡率が八パーセント高くなっています。(「NEJM」三三〇巻一〇二九頁、九四年)」 (『患者よがんと闘うな』近藤 誠著・文藝春秋・P.220)その他にも1970年頃、必須脂肪酸のリノール酸が コレステロールの値を下げるためガンや心疾患、脳卒中という生活習慣病を減らせるという研究があり、紅花 油、大豆油、コーン油、ひまわり油、綿実油などが人気になりました。しかし、このリノール酸を長期に摂り 続けると、かえってガンや心疾患、脳卒中を増やすことが1997年の日本脂質栄養学会で発表されたというよう に科学的にいいとされていたものが時間が経過して誤りであったというようなことはたくさんあります。遺伝 子組み換え食品なども将来何かが起こるかも知れませんが、今の科学の力では分かりません。科学は今現在の 状態を今現在の科学力で確認することしかできません。今まで30ヵ月未満の牛には狂牛病(BSE・牛海綿状脳症) が発症したという事実がないから「月齢の若い牛まで検査することは『科学的根拠がない』と指摘さ れた。」 ということになるのです。「科学的根拠がない」を解りやすく言いかえれば「今、現象が現れ ていない」とか「今、現象を見つけることが出来ない」という意味と解釈して 下さい。このように科学とは現象を検証するだけの学問なのです。そのため、遺伝子組み換え食品を食べてい ると将来どうなるかということはまったく分からないから「危険という科学的根拠(事実)はない」と言って いるだけです。遺伝子組み換え食品の将来毒性は科学者にも分からないというのが本当のところではないでし ょうか。今、家畜用飼料に添加されている抗菌性物質(抗生物質・抗菌剤)で生じた耐性菌が家畜から 人に感染する懸念と、抗生物質耐性遺伝子を持つ遺伝子組み換え作物を食べると腸内細菌が抗生物質耐性遺伝 子を取り込んで人の体内で抗生物質耐性菌が出現する可能性があると議論になっています。しかし、業界側は 「耐性菌は家畜から人に感染するということは科学的に立証されていない」と発言して安全性を強調していま す。「感染することが科学的に立証されていない」という発言からも分かるように今の科学は家畜から人に感 染したというような現象を検証する学問です。今現在、起こっている現象を捉え、これから起こりうる将来の 安全性や危険性までも予測することはできない学問です。それが科学です。人間の知識が及ばないこの広い宇 宙にある惑星の一つ、地球に住んでいる人間の小さな頭で考え出した科学を使って、人の頭で考えられる最大 限の範囲(この広い宇宙の中では非常に狭い範囲)の中で調べただけの科学的根拠です。人間の思惑どおりゆ くはずがありません。間違いだらけです。科学的根拠という太鼓判を押されても、それは今現在のことで、将 来は保証されていないのですから安全性の保証にはなりません。「西洋が生み出した思想や近代合理主義、科 学だけが最高の考え方であると考えなくなっている。科学で割り切れないことが世の中にはとても多いし、科 学は地球上に起こっている現象、歴史的事実のほんの一部しか解明しきれていない、と確信をもっている。」 (『私のがん養生ごはん』柳原和子著・主婦と生活社・P.49)

イギリスの科学雑誌『ネイチャー』の編集部に寄せられる論文は年間1万件あるといわれます。(『地球市場 富の攻防・新薬開発 未知の物質を探せ』NHK・2003年12月20日放送)これほどの論文が一つの科学雑誌編集 部に寄せられるのですから、世界中には年間どのくらいの論文が誕生しているのでしょうか。世界中では論文 が28秒に一つ発表されているそうです。一時間に約120論文、一日に約500論文、一ヶ月で約15,000論文、一年 で約180,000論文も発表されている計算になります。ベーターカロチンは肺ガンを抑制させるという論文とベ ーターカロチンはがんを増やすという論文があります。牛乳は健康にいいとする論文もあり、私のように牛乳 は体に悪いという論文もあります。電磁波は体に無害とする論文もあり、白血病を発症させるという論文もあ ります。ほんの僅かな例ですが、私の知っている範囲でさえ同じ研究をしてまったく正反対の結論をもった論 文があるのですから、世界中にある過去の物も含めた膨大な論文の中には、あなた方が信じているのと正 反対の科学的根拠もあるはずです。このように考えると信じている科学的根拠が正しいのか間違っているの かは分かりません。そうすると科学的根拠とはいったい何なんだろうと思われるのではないでしょうか。牛乳 や遺伝子組み換え食品、電磁波などを安全としている根拠のほとんどは生産・製造者側が出した根拠です。そ の反対にそれらを危険とした根拠のほとんどは消費者側の根拠です。合成洗剤メーカーの出した合成界面活性 剤の生分解性は良いとする科学的根拠に対し、国は合成洗剤に馴らされた微生物を使って生分解実験をしてい たと指摘しました。そのため、メーカー側の合成洗剤の生分解性を良いとした科学的根拠を拒否し、PRTR法の 有害化学物質として合成界面活性剤の6種類を指定したのです。中性脂肪を付きにくくするというマヨネーズ タイプの食品に含まれる主成分、ジアシルグリセロール(合成化学物質)に発ガン性の疑いがあり、厚労省が メーカーに追試試験を行うように要請していましたが、発がん性の有無の回答が出ていないにもかかわらず特 定保健用食品(特保)の認定を与えてしまいました。健康に良いと思い、このジアシルグリセロール(合成化 学物質)が主成分の食油やマヨネーズを使われている方は多いと思います。しかし、この食油やマヨネーズは 健康に良いどころかがんになるかもしれないという怖い食品です。このように安全性の根拠が操作されたり、 隠されたり、ごまかされたりして生産者が有利になる情報だけがマスコミなどで流されているというのが現状 です。国が健康に良いとの認定や生産者が安全という根拠を出せば、値段は高くても普通の商品や食品よりも 売れ、生産者は儲かります。しかし消費者団体は、消費者を騙すようなことが行われており、その商品や食品 を危険としているので、事実を知らせれば儲かるものではないのです。実際に私も酪農の事、医療の事などを すべて安全ではなく危険もあると(事実を)伝えたことにより、酪農家の方やお医者さんなどのお得意先を失 っています。 科学的根拠を正しく判断するには発言する人達がそのことにより儲かるか儲からないかで判断して下さい。儲 かるようでは信用度は低くなります。遺伝子組み換え食品を安全としている人たちは、それによって儲かるか らで、儲からないのならそんな物は売りません。もう一つ科学的根拠云々という以前の問題もあります。大手 メーカーや有名な会社を消費者の方々のほとんどが何の根拠もなく、ただ大手メーカー、有名会社というだけ で信用しているということです。私の言うことよりも情報を操作している大手メーカーやそれを許している国 の言うことの方をほとんどの方は信用すると思います。

このような論文もあります。2003年11月14日の朝日新聞に『昭和大教授 論文に架空症例』という記事が載って いました。論文が採用されやすいように虚偽の症例などのデーターを記載していた、というようなことがある のですから論文といえどもすべてを信用できるものではありません。例えば、インフルエンザワクチン接種の 有効性や薬などのデーター(論文)はほとんどの場合、製薬メーカーが出します。日本では過去46年間、学童 に義務接種をおこなった結果、「効かなかった」という結果が出たため1994年にインフルエンザは予防接種法の 対象から外されたという経緯があります。しかし、2001年に高齢者に対して公的接種を行うようになったのも 「インフルエンザワクチンはインフルエンザを予防できるというデーター(論文)」が出たためです。そんな 中で、大阪赤十字病院小児科医師の山本英彦氏や日本消費者連盟などの調べでは2002年度のインフルエンザワ クチン接種の効果はまったくなかったことを再度確認されています。しかし、私は見ていないのですがテレビ でどこかの大学病院の教授が出演されて2002年度のインフルエンザワクチン接種効果はあったということを説 明されていたということです。同じ年の同じ国で実施されたインフルエンザワクチン接種でも効果のまったく 違うデーターが同時に存在しています。科学的根拠を自分(メーカー)たちにとって都合の良いように操作し たもので論文がつくられる事がかなりあるということを知っていていただきたいと思います。このようなこと に騙されないようにするためには科学的根拠云々がどうのこうのというよりも、過去を見れば何が良いの か、悪いのかが分かります。国や企業が言っていたことが正しかったか。それとも消費者団体など消費者側に 立っている人たちが言っていたことが正しかったか。すでに答えは出ています。
「自然を科学するということは、自然の生命を観ないということなのです。科学すると見失うのです。科学す る目は決して、生命を観れない目なのです。科学する目がダメなのです。科学する目は肉眼であり、見えるの は物質であって生命ではないのです。」(『妙なる畑に立ちて』川口由一著・秋草社・P.110)

民間療法のことを非科学的とよくいわれますが、これは間違いです。この自然界で非科学的なことは絶対に起 こりえません。この自然界で起こるすべてのことは科学的です。例えば、人が動くにも体の中で科学的にエネ ルギーがつくり出されて動いています。非科学的だとされた現象も、その現象が起こるにはエネルギーなどが 科学的に生み出されて発生し現象が起こっていますから非常に科学的だと思います。ただ、現在の人間の知識 で創り上げた科学では分からないか、検証をしていないから非科学的といっているだけです。身の周りで起こ っている現象は科学的です。現象こそが正しい科学的根拠です。(民間療法を科学的としたからといって、す べての民間療法が正しい治療法という意味ではありません)
「人間的喜悲の感情を失った反自然的コンピューターつき機械化人間が科学者である。彼等の頭から生まれた 科学が、本当は人間に役立つものではないというのは、科学的真理が絶対真理でなく、常に反自然的であるか らである。」(『わら一本の革命』福岡正信著・春秋社・P.176)



エコロジカル・ヘルシーショップ三友 桧垣史郎
2003年12月
 
 
 
引用・参考文献
『若い牛 広がる驚き』2003年10月7日付朝日新聞朝刊
『日本の牛乳と狂牛病(BSE・牛海綿状脳症)について』桧垣史郎著・
エコロジカル・ヘルシーショップ三友ホームページ
『患者よがんと闘うな』近藤 誠著・文藝春秋
『私のがん養生ごはん』柳原和子著・主婦と生活社
『地球市場 富の攻防・新薬開発 未知の物質を探せ』NHK・2003年12月20日放送
『論文に架空症例』2003年11月14日付朝日新聞朝刊
『妙なる畑に立ちて』川口由一著・秋草社
『うってはいけない!インフルエンザ予防接種』山本英彦著・日本消費者連盟
『消費者リポート』第1245・1246合併号・2003年12月27日・日本消費者連盟
『わら一本の革命』福岡正信著・春秋社



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