毛穴の皮脂や汚れが抜け毛や薄毛の原因ということがもっともらしくテレビコマーシャルなどでいわれてい
ます。そのためにせっせと頭を洗っている人たちもおられると思います。しかし、ほんとうに皮脂などで毛
穴が汚れると抜け毛や薄毛の原因になるのでしょうか。下記に引用したのは私が若い頃に読んだ本に書い
てあったことです。
「山形さんは、昭和のはじめに花王石鹸に入社して、1年に数えるしか髪を洗わなかった日本人に、月に1回
から、とうとう週に1回シャンプーをさせるように習慣づけた、かくれた恩人なのです。髪は1年に1回、たな
ばたの日に、ふのりや小麦粉で洗うだけ、なんて信じられないでしょうけれど、昭和1桁というのはそんな時
代だったのです。」(『ちょっとすてきなないしょ話』西川勢津子著・ランダム出版・P.154)
以上のように、昔の人は髪をほとんど洗っていませんでした。昔、風呂は五右衛門風呂がほとんどでした。
若い人には五右衛門風呂と言っても分からない人が多いかも知れませんね。五右衛門風呂とはかまどの上に
鉄鋳物でできた湯船を乗せて下から火を炊き、お湯を沸かす風呂です。ちなみに五右衛門風呂の名の由来は
石川五右衛門が処刑された時の風呂釜だったことから名付けられました。この時代には、風呂に水を入れる
にもバケツで水を運び、入れてました。今のようにお湯が少なくなったりぬるくなったりすると蛇口をひね
れば水やお湯が出てくるような時代ではありませんでしたから、一番遅くお風呂に入る時にはお湯が少しし
か残っていませんでした。そのため、毎日家族全員が髪を洗っていたら途中でお風呂のお湯がなくなります。
髪を洗うにも頻繁に洗えないという時代ですから、髪の手入れといえば髪をクシで梳(す)くくらいです。
そのような時代から考えて、昔の人の頭皮や毛穴は現在の人たちよりも絶対に汚れていたはずです。毛穴の
汚れが抜け毛や薄毛の原因でしたら昭和1桁以前の人たちのほとんどが薄毛かハゲていなければおかしいので
すが、昔の古い写真を見てみるとほとんどの人の髪はフサフサしています。薄毛というよりも多すぎるくら
いに髪があります。
もし、毛穴の汚れが抜け毛や薄毛の原因というのなら人間に一番近い野生のサルは汚れをよく落とすシャン
プーなどの洗浄剤を使って洗髪や体を洗っていないので、頭の毛や体毛はすべてなくなっているはずです。
同じように大昔の人間にも頭髪はあったはずですが、シャンプーと呼ばれるものはありませんでした。かと
言って、髪が抜けたり肌にトラブルがあったかというとなかったと思います。地球上にいる動植物はすべて
自然にまかせておけばいいようにできています。それを人間の浅知恵でつくった科学で、この方法が良いと
か、科学的に正しいとか言いはじめてすべてがおかしくなってきています。
下記に引用するコピーはいかにも科学的で真実のように思えますが過去の事実に照らし合わせてみれば間違
っていることが分かります。
「『毛穴に詰まった皮脂を取り除き』細胞分裂が行われやすい環境を作るその為には、頭を1日から2日に1
回のペースで洗い、頭皮を清潔にする事が大切ですが…」(あるホームページから引用・名誉を傷つけない
ために引用先は伏せます)
読んだらいかにも、もっともらしく思えます。このようにいかにも科学的と思われるコピー文章にほとんど
の方は騙されます。そして、ある合成洗剤メーカーのホームページにも抜け毛を気にして洗髪の回数を減ら
すと頭皮に汚れが残り、その汚れによってかえって抜け毛が増えるように書いてありました。皮脂や汗など
は必要があって出る訳ですからそれが毛髪の成長を阻害するはずがありません。「頭皮からは、自然に脂が
出てきて油膜をつくり、そしてその脂が髪の毛まで広がり、コーティングしているのは正常な姿なのです。」
(『超発毛育毛の法』徳富知厚著・青春出版社・P.84)と書いてあるように皮脂が出て頭皮や頭髪を保護し
ているのが当たり前で、皮脂を根こそぎ取り除くことこそ異常なのです。合成洗剤メーカーのホームページに
もシャンプーをして洗い流された皮脂が元に戻るには1〜2日かかるので、髪を洗うのは2日に1度の方がいいよ
うに書いてあり、皮脂が頭皮や髪を守っていることが書いてあります。でも文章の最後には「毎日、洗っても
かまわない」となっていてシャンプーを消費させようとしている意図がうかがえます。
しかし、その皮脂が出過ぎる方もいます。油性皮脂漏といいます。ちょっと普通の方よりも皮脂の分泌が多
すぎ、頭にはオイルなどは何も付けていないのにベタベタになってくる人の事です。このような方にとって
は皮脂が髪の成長に支障がでるかもしれませんが、普通の人は皮脂で髪の成長が阻害されるようなことはあ
りません。
『続 だからせっけんを使う』(船瀬俊介著・三一書房・P.50)に「田代先生(皮膚科医師)は『せっけん
シャンプーでも週に二回以上は洗い過ぎ』と注意します。ふだんは豚毛ヘアブラシでブラッシングをおすす
めします。」と書かれています。私も髪は週2回しか洗いません。特に女性は皮脂の分泌が年齢が増すごとに
少なくなってきますので洗い過ぎは禁物です。油性皮脂漏の方も原因は食生活の誤りが70%だそうです。動物
性の食品を多く摂る洋食よりも、日本人が昔から食べていた穀物と野菜を中心とする食事の方が髪や肌にも
いいということです。
油性皮脂漏のことについて『髪は石けんで洗いなさい』(小澤玉春著・タツの本・P.101)にこのように書い
てあります。「人のからだには、何かの分泌が不足すると補給しようと働き、分泌が多すぎれば働きをセー
ブ(廃用性萎縮)しようとする機能がある。文字どおり 用がなくなれば、仕事を縮小する わけだ。この廃
用性萎縮を頭皮に応用すると、脂症の頭には、さらに脂(油)を加えればいいということになる。頭皮に脂
をすりこめば もう十分だ とばかりに皮脂腺の働きはおとろえ、皮脂の分泌も少なくなる。脂には脂を。こ
こに、何かと便利なオイルローション(参考.1)を利用しよう、というわけだ。オイルローションをまんべ
んなく頭皮にもみこみ、五〜一〇分、蒸しタオル(熱めのお湯で絞ったタオル)を頭にのせて待つ。その後、
基本どおりの石けん洗髪(+お酢リンス)をするが、石けんの弱い洗浄力では、表面に浮いてきた汚れ皮脂
を落とすにとどまる。十分に皮脂は残り、皮脂腺にも仕事をさせないですむ。」体は体を守るために色々な
機能があり廃用性萎縮もその一つです。お肌の手入れといい肌にクリームを塗り続けると廃用性萎縮の作用
で皮脂の分泌が少なくなります。そのため肌が乾燥するのでクリームを塗る。クリームを塗るためにさらに
皮脂の分泌量が減り、益々クリームが手放せない肌になります。麻薬のようなものです。そうなると化粧品
メーカーの思う壺です。だからできるだけ化粧はしない方が肌のためにはいいのです。
石けんでガラスコップやステンレス製のスプーンなどを洗っていると本当にきれいになります。石けんはガ
ラスコップやスプーンなどに残留しませんので決して曇ったりはしません。その反対に、合成洗剤でガラス
コップを洗っていると合成洗剤が残留して曇ってきます。その曇ったガラスコップを石けんで洗うと合成洗
剤が残留しているため残留している合成洗剤に石けんカスが付着しコップが白くなります。このように合成
洗剤はガラスコップやステンレスのようなツルツルで硬い表面にも残留しますので人の皮膚のように凹凸の
あるところにはより残留します。だからヘアケアメーカーの言う「頭皮の汚れ」とは合成洗剤のシャンプー
やリンス、トリートメントを使用した後の頭皮や髪などに残留したそれらの成分を「汚れ」
と言っているのだと思います。合成シャンプーはキューティクルを傷めますか
ら髪にツヤがなくなります。それをごまかすために合成シャンプー用のリンスには合成樹脂などの成分を陽
イオン界面活性剤で髪に付着させて髪にツヤを付けます。陽イオン界面活性剤は+(プラス)イオンですから接着剤の
働きをします。−(マイナス)イオンが主成分のシャンプーでも残留するのですから接着剤である+イオンの陽イオン界
面活性剤が添加してあるリンスやトリートメントの成分が頭皮に付着し残留するのは当然の事なのです。合
成界面活性剤や合成樹脂、殺菌剤、酸化防止剤、色素などの化学物質が頭皮に残留していれば頭
皮に何らかの悪影響を及ぼす可能性は高くなります。
人体から分泌される皮脂は理由があって分泌されるのですから髪の成長を阻害するようなことは
普通はありません。それは昔の人が年に数回しか洗髪をしなくても薄毛やハゲにならなかったことや野生動
物はシャンプーなどで体を洗わなくても体毛が抜けていないことで証明されています。
前にも一度書きましたが、20数年前くらいの話で、女優の和泉雅子さんが北極を横断したとき、横断中は髪
を洗うと凍ってしまうので髪を一度も洗えなかったそうです。その、洗えなかったことが幸いして髪の毛が
すごくきれいになったことを帰国されテレビ出演された折に話されていました。その中で、髪をきれいに
したかったら、髪はあまり洗わない方がいいとも言われていました。人間の髪は元々頻繁に洗わない方がい
いようにできているのだと思います。ただ、人間は他人の目や自分をよく見せようとする心が働きますので
髪を洗うようになったのだと思います。他人の目を気にしてせっせと洗い、薄毛やハゲになった時にはもっ
と他人の目が気になり出しますよ。シャンプーを週2回以上しなければ髪が脂でコーティングされていますの
でブラッシングをしても髪は傷みません。合成樹脂で作られたクシやブラシは静電気を起こしやすいので使
わないようにして天然木のクシや動物の毛でできたブラシでブラッシングをして頭皮や髪の汚れを取り、洗
い過ぎから頭皮と髪を守って下さい。
エコロジカル・ヘルシーショップ三友 桧垣史郎
2004年4月
(参考・1)オイルローションの処方箋
局方エタノール 85cc
ひまし油 15g
プロピレングリコール 15g
レゾルシン 0.1g
メントール 0.01g
レモン香料 0.1g〜0.2g
以上の材料で作ったオイルローションを髪を洗う前にしっかり地肌にすりこんで蒸しタオルを頭にのせ、
5〜10分待ってから普通に石けんシャンプーで洗って下さい。
合成洗剤シャンプーで洗っていた方が石けんシャンプーに切り替える時にも髪を洗う前にオイルローション
を地肌と髪につけて洗うとトラブルなしで切り替えられます。石けんシャンプー用リンスを使うとヒリヒリ
する人にもオイルローションが頭皮を保護してリンスもヒリヒリしません。