− 朝日新聞の『今さら聞けない シャンプー』について − 



2006年4月9日付の朝日新聞 beに『今さら聞けない シャンプー』という記事がありました。この記事の中に「『基本的にシャンプーは中性から弱酸性、せっけんは弱アルカリ性です。それが一番大きな違いでしょう』。そう答えるのは、花王生活者研究センターの杉野久実さん。『髪はアルカリ性に弱いんです』髪はタンパク質と脂質の固まりだ。内部に、様々な分子が詰まっているが、実は弱酸性の時が一番いい具合に結合して安定した状態になっている。アルカリ性の状態におかれると、毛髪内部の結合が弱くなる。髪の表面を覆うキューティクルも浮き上がり、内部の物質が流失、傷みが進むという。せっけんにはもう一つ弱点がある。せっけんかすだ。水中のカルシウムイオンなどと結合してできるせっけんかすは入浴後の湯船につく汚れの一部と同じ。髪にごびりつくと、からまったり『きしみ』の原因になったりするという」というように書いてありました。しかし、この記事は間違っています。この記事を検証してみましょう。



「『髪はアルカリ性に弱いんです』髪はタンパク質と脂質の固まりだ。内部に様々な分子が詰まっているが、実は弱酸性の時が一番いい具合に結合して安定した状態になっている。アルカリ性の状態におかれると、毛髪内部の結合が弱くなる。髪の表面を覆うキューティクルも浮き上がり、内部の物質が流失、傷みが進むという。」
合成洗剤がなかった時代には、日本中の皆さんが石けんで髪を洗っていました。花王生活者研究センターの杉野氏が言われるように、髪がアルカリ性に弱いことが本当だったら、昔の人の髪はボロボロだったはずです。しかし、昔の人の髪はきれいでした。



石けんでシャンプーをするにしてもわずか5分間くらいです。たった5分くらいのアルカリ状態におかれるだけで髪の痛みがすすむほど内部の物質が流失するものでしょうか?そんなに髪の毛は弱いものでしょうか。もしも、それが本当であればこれはどう思われますか。海水やプールの水は、アルカリ性です。そのアルカリ性の水に髪を長時間、曝す仕事をしている海女さんや学校などの水泳部の部員などは、髪の内部の物質は完全に流失してしまうはずです。皆さんも夏、海やプールに泳ぎに行かれると思います。プールには塩素が入れてありますので、水質はアルカリ性になっています。プールに入る人の中には、頭は水に浸けずにただ泳ぐだけの人もいると思います。だから、海女の人達のように長時間、海水に髪を曝すことはないかもしれません。ですが、髪の毛と同じ陰毛はどうでしょうか?



海やプールに入れば、陰毛は必ず水に浸かります。だから泳いでいる間中、アルカリ性の状態におかれます。シャンプーをする程度の時間ではありません。相当の時間です。では、花王生活者研究センターの杉野久実氏のいわれるように、石けんでシャンプーをするくらい短時間でも「内部の物質が流失、傷みが進む」と言われるくらいですから、陰毛の内部物質も相当量流失しているはずです。ですが、陰毛はどうなっていますか。まったく傷んでいないはずです。学校の水泳部の人達は、ほぼ毎日、数時間、塩素のプールに入っています。髪は、合成洗剤の中性や弱酸性のシャンプーで傷んでいるかもしれませんが、アルカリ性のプールの水で陰毛は傷んでいないはずです。海でも同じ事です。



以前、あるメーカーのテレビコマーシャルで男性の美容師が水の入ったスプレーを手に持って、女性に「癖のついた髪が水でなおらないのは、髪が傷んでいるから」というのがありました。私は、石けんで洗った髪をドライヤーなどで乾かすことはせず、完全に乾いていない状態で寝ますので、朝、起きた時の髪の毛は、頭に爆弾が落ちたかのような状態になっています。そして整髪には、髪に油や整髪料をつけるのが嫌いですから、水が入れてある霧吹きで頭を濡らして整髪をします。石けんで洗髪をしている私の頭は、水をスプレーするだけで爆弾が落ちたような髪がきれいに整髪出来ます。これは、髪が傷んでいないからこそできることではないでしょうか。
「癖のついた髪が水でなおらないのは、髪が傷んでいるから」と訴えるこのコマーシャルは、合成洗剤のシャンプーは髪が傷むということを告発しているようなものです。



「せっけんにはもう一つ弱点がある。せっけんかすだ。水中のカルシウムイオンなどと結合してできるせっけんかすは入浴後の湯船につく汚れの一部と同じ。髪にごびりつくと、からまったり『きしみ』の原因になったりするという」(2006年4月9日付朝日新聞 be)
石けんで髪を洗った後、髪のきしみがひどいのは、髪のキューティクルを傷める合成洗剤のシャンプーから石けんに切り替えた時期だけです。そのまま石けんでシャンプーをしていれば、キューティクルは傷みませんので、合成洗剤のシャンプーで傷んだ髪が生え替われば、石けんでシャンプーをしてもほとんどきしみはありません。



我が家は、井戸水です。水道水よりもカルシウムなどのミネラル分は多く、石けんカスが発生しやすい環境です。我が家では実際、井戸水で無添加粉石けんを使い洗濯していますが、泡が立ちません。それほどミネラル分が多い水です。その水を使って石けんで髪を洗っても髪はきしみませんし、石けんカスもつきません。私は、髪を洗うのに浴用の固形石けんで洗います。リンスはしません。そして、髪は自然乾燥ですし、オイルなども一切付けません。それで髪が傷んだり、きしんだりということはまったくありません。



花王生活者研究センターの杉野久実氏は当然、合成洗剤のシャンプーを使われていると思います。合成洗剤を使って髪を洗うと、キューティクルが傷つきます。合成洗剤シャンプーは、キューティクルを溶かす作用があることは医学博士 坂下 栄氏の実験(『合成洗剤 恐怖の生体実験』メタモル出版)で明らかになっています。合成洗剤シャンプーで傷んだ髪の人が石けんで髪を洗うと、傷んだキューティクルに石けんカスがこびり付きます。杉野氏は、ご自分の体験を新聞で語られたのでしょう。合成洗剤を使うからキューティクルが傷む、その結果、石けんで髪を洗うときしむのは、合成洗剤が原因で起こる現象です。キューティクルが傷まないアルカリ性の石けんで長年髪を洗っている人の髪には、石けんカスがこびり付くことはありません。結局、合成洗剤シャンプーが原因で起こる現象です。



この新聞記事で花王生活者研究センターの杉野久実氏は、石けんの欠点だけを話されて、石けんの良いことは話されていません。要するに杉野氏は、石けんよりも合成洗剤の方が良いということをアピールしたかったようです。しかし、現在販売されている各メーカーの主だった合成洗剤の成分は、PRTR法(特定化学物質の環境への排出量の掌握等及び管理の改善の促進に関する法律)で第一種有害化学物質に指定されていて、削減対象になっている化学物質が使用されています。



第一種有害化学物質とは、
  1. 人の健康を損なうまたは動植物の生息もしくは生育に支障を及ぼす恐れがあるもの。
  2. 環境中に排出されたあとで化学変化を起こし、容易に上記の有害な化学物質を生成するもの。
  3. オゾン層を破壊する恐れがあるもの。
というような物質です。家庭から排出される有害化学物質の半分以上は、合成洗剤の成分です。合成洗剤は、いくらすすいでも残留することが(社)日本電気工業会の実験でわかっています。人の健康を損なう恐れのある有害化学物質が髪や頭皮、体に残留して頭皮や体に汗をかいた時に溶け出し、皮膚から毛細血管を通じて体内に取り込まれ体中を巡ります。化学物質が体内に入ると、活性酸素が発生し、その活性酸素が細胞を傷つけ、色々なトラブルを生みます。



ほとんどの方は、テレビでコマーシャルをしているというだけでそのメーカーの製品を信じます。ということは、髪を傷める合成界面活性剤などの化学物質が製品に含まれていて、使えば髪が傷むようなものでもテレビなどマスコミを利用してコマーシャルをすれば売れてしまうということです。合成洗剤のシャンプーを使っていれば、枝毛や切れ毛ができます。「髪はアルカリ性に弱いんです」と花王生活者研究センターの杉野久実氏は言われますが、私はアルカリ性の固形石けんで髪を洗っています。リンスもオイルも使いませんが、枝毛や切れ毛はまったくできません。合成洗剤のシャンプーには枝毛や切れ毛、キューティクルのダメージをごまかす化学物質を添加していますからわからないだけです。



大手合成洗剤メーカーは、年間約300〜400億円を広告に使うそうです。この金額は業界全体ではなく、一社の宣伝広告費です。つい最近も、大手化粧品メーカーが新製品のシャンプー、コンディショナー、トリートメントシャンプーを発売しましたが、有名な女優を6人起用して宣伝広告費に50億円使っています。これほどの大金を使って宣伝をするのですから売れます。たぶん、薬と同じで製品開発費よりも宣伝・販売などのマーケティング費の方に多くのお金を使っているのではないでしょうか。製品は、合成化学物質を混ぜ合わせるだけですから、安く出来上がります。皆さんは製品の良し悪しよりもこのような宣伝・広告で買わされているのです。



髪を健康にきれいにするには、先ず、キューティクルを傷める合成洗剤のシャンプーを使わないこと、そして、いくら髪を傷めない石けんでも、毎日シャンプーをする洗い方は止めることです。頭皮から出る皮脂は、頭皮や髪を保護しますが、シャンプーを毎日する事により、必要以上に皮脂を洗い流すので、頭皮や頭髪が無防備になり、頭皮や髪が傷むことも考えられます。髪は2日か、3日に一度洗う程度がちょうど良い頻度ですが、本当は、一週間に一度くらいが理想です。合成洗剤のシャンプーは、髪を傷めるから当然ダメなのですが、洗いすぎはもっと悪い。洗えば洗うほどきれいになるわけではありません。何でもほどほどがちょうど良いのです。



「山形さんは、昭和のはじめに花王石鹸に入社して、1年に数えるしか髪を洗わなかった日本人に、月に1回から、とうとう週に1回シャンプーをさせるように習慣づけた、かくれた恩人なのです。髪は1年に1回、たなばたの日に、ふのりや小麦粉で洗うだけ、なんて信じられないでしょうけれど、昭和1桁というのはそんな時代だったのです。」(『ちょっとすてきなないしょ話』西川勢津子著・ランダム出版・P.154)
以上の引用のように、売上げを増やそうと企んだ合成洗剤メーカーが、日本人に毎日髪を洗わせるように仕向けたことで、消費量の大幅アップに成功しました。昔は、年に1度か2度、髪を洗うくらいで、普段は櫛などで手入れをするだけでした。だから、髪が傷まずきれいだったのです。女優の和泉雅子さんが北極を横断した時、寒さで凍るため、横断中は一度も洗わなかったけれど、髪がものすごくきれいになっていたと言われていました。アルカリ性が問題ではないのです。髪の洗い過ぎ、合成洗剤のシャンプーこそが髪を傷める原因なのです。





エコロジカル・ヘルシーショップ三友 桧垣史郎
2006年5月
 
 
 
引用・参考文献
2006年4月9日付朝日新聞 be
『合成洗剤 恐怖の生体実験』坂下 栄著・メタモル出版
『環境浄化石けん』森田光徳著・サンマーク出版
『ちょっとすてきなないしょ話』西川勢津子著・ランダム出版



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